中枢性尿崩症
概要
中枢性尿崩症は、下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌障害により発症する疾患である。大量の希釈尿と口渇、多飲を主症状とする。原因は頭部外傷、腫瘍、手術、特発性など多岐にわたる。
要点
- 抗利尿ホルモン(バソプレシン)分泌低下が根本的病態
- 多尿・口渇・多飲が三大症状
- 水制限試験とバソプレシン負荷で診断される
病態・原因
視床下部-下垂体後葉系の障害により、抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌が低下または消失することで発症する。原因は頭部外傷、脳腫瘍、手術、炎症、特発性などがある。
主症状・身体所見
主症状は多尿(1日3L以上)、希釈尿、強い口渇、多飲である。脱水症状や体重減少がみられることもある。夜間頻尿も特徴的である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 尿浸透圧・尿比重 | 低値 | 希釈尿(尿浸透圧<300 mOsm/kg) |
| 水制限試験 | 尿浸透圧上昇せず | 中枢性でバソプレシン負荷に反応 |
| バソプレシン負荷試験 | 尿浸透圧上昇 | 腎性尿崩症との鑑別に有用 |
水制限試験で尿浸透圧が上昇せず、バソプレシン投与で尿浸透圧が上昇する場合に中枢性尿崩症と診断される。MRIで下垂体後葉の高信号消失や基礎疾患の検索も重要である。
治療
- 第一選択:デスモプレシン(バソプレシン誘導体)投与
- 補助療法:水分摂取指導、基礎疾患の治療
- 注意点:過剰投与による水中毒・低ナトリウム血症に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 腎性尿崩症 | バソプレシン投与で無効 | 水制限・負荷試験で尿浸透圧上昇せず |
| 心因性多飲症 | 水制限で尿浸透圧上昇 | 精神症状やストレス背景あり |
補足事項
小児や高齢者では脱水リスクが高く、注意が必要である。デスモプレシンの投与量調整や基礎疾患の精査も重要となる。