心因性多飲症

概要

心因性多飲症は、心理的要因や精神的ストレスを背景に過剰な水分摂取を行う疾患である。腎機能やホルモン異常がないにもかかわらず多量の飲水がみられる。水中毒や低ナトリウム血症を引き起こす危険がある。

要点

  • 心理的要因による過剰な飲水が特徴
  • 水中毒や低ナトリウム血症のリスク
  • 中枢性・腎性尿崩症との鑑別が重要

病態・原因

精神的ストレスや不安、強迫的傾向などが背景となり、習慣的・意図的に大量の水分摂取が行われる。視床下部や下垂体の異常は認められない点が特徴である。

主症状・身体所見

多飲・頻尿が主症状であり、希釈尿が認められる。重症例では意識障害や痙攣など水中毒による低ナトリウム血症症状が出現することがある。

検査・診断

検査所見補足
血清ナトリウム低値水中毒時に低ナトリウム血症
尿浸透圧低値希釈尿が持続
水制限試験尿浸透圧上昇尿崩症との鑑別に有用

水制限試験で尿浸透圧が上昇し、バソプレシン投与による反応が乏しい場合に心因性多飲症を疑う。中枢性・腎性尿崩症との鑑別が診断上重要である。

治療

  • 第一選択:心理社会的介入・精神療法
  • 補助療法:飲水制限指導、家族指導
  • 注意点:急激な飲水制限は低ナトリウム血症を悪化させるため慎重に行う

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
中枢性尿崩症バソプレシン投与で尿浸透圧上昇バソプレシン反応性
腎性尿崩症バソプレシン投与で尿浸透圧変化なしバソプレシン非反応性
バソプレシン不適合分泌症候群低Na血症・尿浸透圧高値尿浸透圧が高い

補足事項

精神疾患(統合失調症など)に合併することが多く、再発予防には精神科的アプローチが重要である。慢性例では腎機能障害や低ナトリウム血症のモニタリングが必要。

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