腎性尿崩症
概要
腎性尿崩症は腎集合管がバソプレシンに反応できず、水の再吸収障害により大量の希釈尿を排出する疾患。先天性や後天性があり、電解質異常や薬剤、遺伝子異常が原因となる。中枢性尿崩症とは異なり、抗利尿ホルモン投与に反応しない。
要点
- バソプレシン不応性による多尿・口渇が主症状
- 高ナトリウム血症や脱水に注意
- デスモプレシン試験で診断・中枢性と鑑別
病態・原因
腎集合管のバソプレシン受容体や水チャネル(アクアポリン2)の異常により、水再吸収が障害される。先天性(遺伝性)と後天性(薬剤性、電解質異常、腎疾患など)がある。リチウムやデメクロサイクリンなどの薬剤、低カリウム血症、高カルシウム血症が後天性の原因となる。
主症状・身体所見
多尿(1日3L以上)、口渇、夜間頻尿が特徴で、進行すると脱水や高ナトリウム血症をきたす。乳幼児では体重増加不良や発達遅延がみられる場合もある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清・尿浸透圧 | 血清浸透圧↑、尿浸透圧↓ | 多尿・高ナトリウム血症の評価 |
| 水制限試験 | 尿浸透圧上昇しない | 中枢性尿崩症との鑑別 |
| デスモプレシン試験 | 尿浸透圧変化なし | バソプレシン投与で反応しない点が特徴 |
水制限試験で尿浸透圧の上昇がみられず、デスモプレシン投与でも反応しないことが診断の決め手。血清Naや浸透圧の上昇も参考となる。画像診断は中枢性との鑑別目的で施行することがある。
治療
- 原因除去:薬剤性なら中止、電解質異常の是正
- サイアザイド系利尿薬やNSAIDs投与
- 低ナトリウム食・適切な水分補給の指導
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 中枢性尿崩症 | デスモプレシンに反応し尿浸透圧上昇 | デスモプレシン試験で改善 |
| 心因性多飲症 | 水制限で尿浸透圧が上昇しやすい | 水制限試験で改善 |
補足事項
先天性腎性尿崩症はX連鎖劣性遺伝が多く、乳幼児で発見されやすい。慢性化すると発育障害や精神発達遅滞につながるため、早期診断と治療が重要。