クループ症候群
概要
クループ症候群は主に小児にみられる急性上気道感染症であり、声門下の気道狭窄による特有の犬吠様咳嗽と嗄声、吸気性喘鳴を特徴とする。主な原因はウイルス感染で、秋から冬にかけて流行する。
要点
- 声門下浮腫による急性気道狭窄が本態
- 犬吠様咳嗽・嗄声・吸気性喘鳴が三徴
- 多くはウイルス感染が原因で、乳幼児に好発
病態・原因
主な原因はパラインフルエンザウイルスなどのウイルス感染であり、声門下部の粘膜浮腫と炎症によって急速に気道が狭窄する。気道径が小さい乳幼児で重症化しやすい。
主症状・身体所見
犬が吠えるような咳(犬吠様咳嗽)、嗄声、吸気性喘鳴が典型的で、しばしば夜間に悪化する。発熱や軽度の呼吸困難を伴うことが多い。重症例では陥没呼吸やチアノーゼがみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 喉頭・頸部X線 | 声門下の狭窄(steeple sign) | 重症例で実施される |
| 血液検査 | 白血球増多または正常 | 鑑別や重症度評価の一助 |
| 喉頭視診 | 声門下浮腫・発赤 | 臨床診断が主体だが補助的に行う |
臨床症状と身体所見から診断されることが多いが、重症例や鑑別困難例では画像検査が有用。steeple signは声門下の狭窄を示す典型的X線所見。
治療
- 第一選択:酸素投与、吸入ステロイド(ブデソニド)、エピネフリン吸入
- 補助療法:加湿、安静保持、必要に応じて抗菌薬(細菌合併時)
- 注意点:重症例では気道閉塞リスクが高く、緊急気管挿管を考慮
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性喉頭蓋炎 | 強い嚥下痛・流涎・高熱 | 喉頭蓋腫脹(側面X線) |
| 声帯ポリープ | 声のかすれのみ、急性症状なし | ポリープの視認(喉頭鏡) |
| 急性気管支炎 | 咳嗽主体、吸気性喘鳴少ない | 胸部聴診でラ音、X線で異常なし |
補足事項
クループ症候群は多くが軽症で自然軽快するが、重症例では急速な気道閉塞に注意が必要。細菌性クループ(ジフテリアなど)は稀だが重篤化しやすい。