百日咳
概要
百日咳はBordetella pertussisによる急性呼吸器感染症で、特有の激しい咳発作が特徴。乳幼児を中心に重症化しやすく、ワクチンで予防可能な疾患である。
要点
- 強い連続性の咳発作と吸気性笛声が特徴
- 乳幼児では無呼吸や合併症に注意が必要
- ワクチン接種による予防が重要
病態・原因
原因菌はBordetella pertussisであり、飛沫感染によって伝播する。気道上皮に付着し、毒素産生により炎症と痰の分泌亢進を引き起こす。ワクチン未接種児や免疫低下者で重症化しやすい。
主症状・身体所見
カタル期では軽い咳や鼻汁がみられ、痙咳期に特徴的な連続性の激しい咳と吸気性笛声(レプリーゼ)が出現する。乳児ではチアノーゼ、無呼吸発作、けいれんなど重篤な症状もみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 鼻咽頭ぬぐい液培養 | Bordetella pertussis検出 | 標準診断法、発症初期に有用 |
| PCR検査 | Pertussis DNA陽性 | 感度・特異度が高い |
| 血清抗体価測定 | 抗PT抗体上昇 | ワクチン接種歴の評価も可能 |
臨床症状と疫学的背景から診断するが、確定には培養やPCRによる病原体の同定が重要。画像診断では特異的所見は乏しいが、胸部X線で肺門リンパ節腫脹や軽度の浸潤影がみられることがある。
治療
- 第一選択:マクロライド系抗菌薬(エリスロマイシン、クラリスロマイシンなど)
- 補助療法:酸素投与、加湿、十分な栄養管理
- 注意点:乳児では合併症(無呼吸、けいれん)への早期対応、院内感染対策
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性細気管支炎 | 咳は持続するが発作性・笛声は乏しい | 病原体はRSウイルスなどが多い |
| クループ症候群 | 犬吠様咳嗽と嗄声、吸気性喘鳴 | 喉頭の腫脹、X線でsteeple sign |
補足事項
ワクチン未接種児や乳児では重篤化しやすく、集団発生例も報告されている。成人や高齢者も感染源となりうるため、ワクチンブースター接種の重要性が増している。