アニサキス

概要

アニサキスは寄生虫の一種で、主に魚介類の生食を介してヒトに感染する。胃や腸壁に侵入し、急性の消化器症状を引き起こす。アレルギー反応や穿孔など重篤な合併症を起こすこともある。

要点

  • 生魚摂取後に急性腹痛を発症する寄生虫感染症
  • 胃・腸壁への侵入による炎症とアレルギー症状が特徴
  • 内視鏡的摘出が診断・治療の中心

病態・原因

アニサキス属線虫の幼虫が海産魚介類に寄生し、それを生食することでヒトに感染する。幼虫は胃や腸の壁に穿入し、局所炎症やアレルギー反応を引き起こす。主な感染源はサバ、イカ、サケなどの生食である。

主症状・身体所見

代表的な症状は激しい上腹部痛や悪心、嘔吐であり、生食後数時間以内に発症することが多い。腸アニサキス症では腹痛や腸閉塞症状、重症例では穿孔や腹膜炎をきたす。蕁麻疹やアナフィラキシーなどアレルギー症状を伴うこともある。

検査・診断

検査所見補足
上部消化管内視鏡胃粘膜へのアニサキス幼虫の穿入幼虫の直接確認・摘出が可能
腹部CT・超音波消化管壁の浮腫・肥厚腸型では壁肥厚や腸閉塞像

内視鏡による幼虫の直接観察と摘出が診断・治療の決め手となる。血液検査で好酸球増多やIgE上昇を認めることもあるが、急性期では認めないことも多い。画像診断は腸型で有用。

治療

  • 第一選択:内視鏡的摘出(胃型)
  • 補助療法:対症療法(鎮痛薬、制吐薬)、経過観察(腸型)
  • 注意点:生魚摂取歴の聴取と再発予防指導

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
急性胃腸炎食事歴・発熱・下痢が目立つ内視鏡で虫体なし
胃潰瘍慢性経過・食後痛粘膜潰瘍・虫体なし
急性虫垂炎右下腹部痛・圧痛点虫体なし・画像で虫垂腫大

補足事項

アニサキス症の予防には魚介類の十分な加熱や冷凍処理が有効である。アレルギー症状を伴う場合は抗アレルギー薬の投与や重症例ではアドレナリン投与も考慮する。

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