せん妄

概要

せん妄は急性に発症する意識障害の一種で、注意障害や認知機能の変動、錯覚や幻覚を特徴とする。高齢者や身体疾患、薬剤、手術など多様な要因で発症しやすい。基礎疾患の悪化や新規発症のサインとなることが多い。

要点

  • 急性発症の意識障害と注意障害が中心
  • 原因は多岐にわたり、身体疾患や薬剤が誘因となる
  • 早期発見・原因治療と環境調整が重要

病態・原因

せん妄は脳の神経伝達物質のバランス異常(アセチルコリン低下、ドパミン過剰など)により生じる。高齢者、認知症患者、重症身体疾患、感染症、薬剤(特に抗コリン薬やベンゾジアゼピン系)、アルコール離脱、手術後などがリスク因子となる。

主症状・身体所見

注意障害、意識水準の変動、見当識障害、幻覚(特に幻視)、錯覚、不穏や興奮、逆に無動・無反応などがみられる。昼夜逆転や睡眠障害、自律神経症状(頻脈、発汗)を伴うことも多い。

検査・診断

検査所見補足
血液検査電解質異常、感染、肝腎機能障害など原因検索のため
画像検査(頭部CT/MRI)脳血管障害、腫瘍、慢性硬膜下血腫など器質性疾患の除外
尿検査尿路感染、薬物中毒など高齢者では重要

診断は臨床症状と経過観察が中心で、DSM-5やICD-10の診断基準が用いられる。CAM(Confusion Assessment Method)などのスクリーニングツールも有用。画像や検査は基礎疾患や鑑別疾患の評価のために行う。

治療

  • 第一選択:原因疾患の治療と環境調整(明るい部屋、時計やカレンダー設置など)
  • 補助療法:非薬物的介入(家族の同席、睡眠リズム調整)、必要時抗精神病薬(ハロペリドール等)を少量短期間
  • 注意点:ベンゾジアゼピン系は原則禁忌(アルコール離脱時を除く)、過鎮静や転倒予防に留意

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
認知症発症が慢性進行性、意識障害なし画像検査で萎縮、急性経過なし
統合失調症若年発症、幻聴や妄想が中心意識障害・注意障害は目立たない

補足事項

せん妄は予後不良や長期入院、転倒・合併症のリスクと関連するため、早期発見・予防が重要となる。高齢者では軽微な身体的変化や環境変化でも発症しやすいことに注意。

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