躁病
概要
躁病は気分障害の一種で、異常な高揚気分や活動性亢進を特徴とする精神疾患である。多弁、多動、誇大妄想などが現れ、社会的・職業的機能に重大な支障をきたすことが多い。双極性障害の躁状態として出現する場合が一般的である。
要点
- 気分の異常な高揚と活動性の著明な増加
- 判断力低下や社会的トラブルを招きやすい
- 双極性障害の一相として出現することが多い
病態・原因
躁病は脳内の神経伝達物質(ドパミン、ノルアドレナリンなど)の異常なバランスによって発症する。遺伝的素因やストレス、薬物(抗うつ薬やステロイドなど)の影響もリスク因子となる。多くは双極性障害の一部として認められる。
主症状・身体所見
主な症状は、気分の異常な高揚、易怒性、多弁、多動、観念奔逸、誇大妄想、睡眠欲求の減少である。社会的な逸脱行動や金銭浪費、性的逸脱などの行動化も特徴的である。身体所見としては特異的な異常は少ないが、過活動による疲労がみられる場合がある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 精神科面接 | 気分高揚、多弁、多動、誇大妄想など | DSM-5などの診断基準に基づく |
| 血液・画像検査 | 一般的に特異的な異常なし | 器質性疾患や薬物影響の除外目的 |
| 脳波 | 通常は異常なし | てんかん等の鑑別が必要な場合に施行 |
診断はDSM-5などの国際診断基準に基づき、1週間以上持続する顕著な気分高揚と社会機能障害の有無を確認する。器質性疾患や薬物性の除外も重要である。
治療
- 第一選択:気分安定薬(リチウム、バルプロ酸など)、非定型抗精神病薬
- 補助療法:環境調整、心理教育、必要に応じて入院管理
- 注意点:抗うつ薬単剤投与は躁転リスクがあるため禁忌
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| うつ病 | 気分低下・意欲減退が主体 | 気分の高揚・多動なし |
| 統合失調症 | 幻覚・妄想が主症状 | 気分高揚より思考障害が目立つ |
| せん妄 | 意識障害・注意障害を伴う | 発症が急性、夜間増悪しやすい |
補足事項
躁病は双極性障害の一部として現れることが多く、再発予防や長期的な治療管理が重要となる。社会的トラブルや自傷・他害リスクへの対応も臨床現場で重要視される。