IgA腎症
概要
IgA腎症は、糸球体にIgAの沈着を特徴とする原発性糸球体腎炎であり、慢性腎臓病の主要な原因の一つ。主に若年成人に発症し、血尿や蛋白尿を呈し、進行すると腎不全に至ることがある。
要点
- 糸球体にIgA沈着が認められる慢性腎疾患
- 血尿・蛋白尿を主症状とし、無症候性も多い
- 進行例では腎機能低下や末期腎不全に至る
病態・原因
上気道感染などを契機にIgA産生が亢進し、異常なIgA1が糸球体メサンギウム領域に沈着することで炎症が惹起される。遺伝的素因や免疫異常が関与する。
主症状・身体所見
顕微鏡的血尿や肉眼的血尿が反復することが多く、蛋白尿も認める。浮腫や高血圧は進行例で出現するが、初期は無症状のことが多い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 尿検査 | 血尿、蛋白尿 | 顕微鏡的または肉眼的血尿が特徴 |
| 腎生検 | メサンギウム領域のIgA沈着 | 蛍光抗体法で診断確定 |
| 血液検査 | IgA高値 | 非特異的だが補助所見 |
診断は腎生検による糸球体メサンギウム領域へのIgA沈着の証明が必須。画像検査では腎サイズや腎皮質の菲薄化を評価する。
治療
- 第一選択:蛋白尿や腎機能低下例にはACE阻害薬/ARB、重症例でステロイド療法
- 補助療法:食事療法(塩分・蛋白制限)、血圧管理、脂質管理
- 注意点:感染症予防、腎機能の定期的評価、慢性腎不全への進行予防
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性糸球体腎炎 | 発熱・咽頭痛後の急性発症 | ASO高値、IgA沈着なし |
| 膜性腎症 | ネフローゼ症候群主体 | IgG沈着優位、IgA沈着なし |
| Alport症候群 | 難聴・視力障害合併 | 電子顕微鏡で基底膜変化 |
補足事項
IgA腎症は小児から成人まで幅広く発症し、学校検尿で発見されることも多い。臨床経過や病理所見により予後が大きく異なるため、定期的なフォローアップが重要である。