糖尿病性腎症
概要
糖尿病性腎症は糖尿病の慢性合併症の一つで、腎臓の糸球体が障害されて進行性の腎機能低下をきたす疾患。日本における末期腎不全の主な原因であり、蛋白尿と腎機能障害が特徴。適切な治療で進行を遅らせることが重要。
要点
- 糖尿病患者に発症しやすい腎臓の慢性障害
- 初期は微量アルブミン尿、進行で高度蛋白尿と腎不全
- 血糖・血圧・脂質の管理が進行抑制に不可欠
病態・原因
高血糖状態が長期間持続することで糸球体毛細血管の障害、基底膜の肥厚、メサンギウムの増殖などが起こる。高血圧、脂質異常症、喫煙もリスク因子となる。最終的に糸球体硬化、腎機能低下へ進行する。
主症状・身体所見
初期は自覚症状に乏しいが、微量アルブミン尿から始まり、進行すると高度蛋白尿、浮腫、高血圧が現れる。末期では尿毒症症状(倦怠感、食欲不振、悪心など)や腎不全の徴候がみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 尿中アルブミン | 微量アルブミン尿→蛋白尿 | 早期診断・進行度評価 |
| 血清クレアチニン | 上昇 | 腎機能低下の指標 |
| eGFR | 低下 | 腎機能障害の進行度判定 |
| 腎超音波 | 腎の萎縮、腎皮質の菲薄化 | 鑑別・進行度評価 |
診断は糖尿病患者で持続する蛋白尿(特にアルブミン尿)と腎機能障害の存在、他の腎疾患除外が基本。腎生検は非典型例や鑑別困難例で考慮。画像所見では腎の萎縮や皮質菲薄化がみられる。
治療
- 第一選択:血糖・血圧・脂質の厳格な管理(RAS阻害薬含む)
- 補助療法:食事療法(塩分・蛋白制限)、体重管理、禁煙
- 注意点:腎機能悪化時は薬剤用量調整、進行例は透析・腎移植も検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 慢性腎臓病 | 糖尿病以外の腎障害背景 | 糖尿病既往・蛋白尿型 |
| IgA腎症 | 血尿主体・感染後増悪 | IgA優位沈着 |
| 高血圧性腎硬化症 | 高血圧長期罹患・蛋白尿は軽度 | 腎動脈硬化像 |
補足事項
糖尿病性腎症は透析導入の主要原因であり、早期発見・介入が予後改善に直結する。新規薬剤(SGLT2阻害薬等)の腎保護効果にも注目が集まる。