Basedow病
概要
Basedow病は自己免疫機序により甲状腺機能亢進をきたす代表的疾患で、成人女性に多い。甲状腺腫大、眼症状、頻脈など特徴的な3徴を呈する。TRAb(TSH受容体抗体)の存在が診断の重要な手がかりとなる。
要点
- 甲状腺機能亢進症の代表的疾患
- 甲状腺腫大・眼症状・頻脈が三徴
- TRAb(TSH受容体抗体)が陽性
病態・原因
自己免疫反応によりTSH受容体に対する抗体(TRAb)が産生され、甲状腺刺激が持続しホルモン過剰分泌となる。遺伝的素因やストレス、感染などが発症リスクとされる。
主症状・身体所見
動悸、体重減少、発汗過多、手指振戦、筋力低下などがみられる。甲状腺腫大、眼球突出(眼症状)、頻脈が特徴的であり、皮膚症状(前脛骨部粘液水腫)もみられることがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 甲状腺機能検査 | FT4・FT3高値、TSH低値 | 甲状腺ホルモン過剰分泌を示す |
| TRAb測定 | TRAb陽性 | 診断の特異性が高い |
| 甲状腺超音波 | びまん性腫大、血流増加 | 形態と血流動態の評価 |
甲状腺シンチグラフィーではびまん性に取り込み増加を認める。診断は臨床症状と甲状腺機能異常、TRAb陽性でほぼ確定する。
治療
- 第一選択:抗甲状腺薬(メチマゾール、プロピルチオウラシル)
- 補助療法:β遮断薬による頻脈・振戦の対症療法、放射性ヨウ素治療や外科的切除も選択肢
- 注意点:無顆粒球症など抗甲状腺薬副作用や妊娠時の薬剤選択に留意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Plummer病 | 結節性腫大、眼症状なし | TRAb陰性、シンチで結節性集積 |
| 甲状腺機能低下症 | 甲状腺腫大はあっても症状が逆 | FT4・FT3低値、TSH高値 |
| 無痛性甲状腺炎 | 甲状腺痛なし、経過短い、眼症状なし | TRAb陰性、シンチで取り込み低下 |
補足事項
妊娠や授乳中の管理、眼症状の重症例では専門的治療が必要となる。再発例や薬剤不耐時は放射性ヨウ素や手術適応となる。甲状腺クリーゼ発症時は緊急対応が必要。