亜急性甲状腺炎
概要
亜急性甲状腺炎は、主にウイルス感染後に発症する一過性の甲状腺炎であり、甲状腺の圧痛と発熱、甲状腺機能異常を特徴とする。中年女性に好発し、自然軽快することが多いが、急性期は強い疼痛と炎症反応を伴う。
要点
- ウイルス感染後に発症しやすい一過性の甲状腺炎
- 甲状腺部の圧痛・発熱・炎症反応が特徴
- 一過性の甲状腺機能亢進から機能低下に移行することがある
病態・原因
ウイルス感染(コクサッキー、アデノウイルスなど)に続発し、甲状腺濾胞の破壊による炎症が主体。自己免疫性ではなく、季節性や家族内発症は少ない。中年女性に多くみられる。
主症状・身体所見
急性発症の頸部痛(甲状腺部圧痛)、発熱、全身倦怠感が主症状。痛みはしばしば耳や顎に放散し、嚥下痛や咽頭痛を伴うこともある。甲状腺は腫大し、硬く触れる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | CRP・赤沈上昇、甲状腺ホルモン高値 | TSH低下、白血球増多 |
| 甲状腺シンチグラフィ | 摂取率低下 | 破壊性甲状腺炎の所見 |
| 超音波検査 | 低エコー域、腫大 | 血流低下がみられる |
血液検査で炎症反応と甲状腺機能異常(初期はT3,T4高値、TSH低下)がみられる。シンチグラフィで摂取率低下が特徴的。自己抗体は陰性。超音波で低エコー域を認める。
治療
- 第一選択:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
- 補助療法:重症例ではステロイド投与、甲状腺機能低下時は補充療法
- 注意点:過剰な甲状腺ホルモン補充は避ける
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性甲状腺炎 | 化膿性、発赤・膿瘍形成を伴う | 白血球著増、細菌培養陽性 |
| Basedow病 | 無痛性腫大、眼症状を伴う | シンチで摂取率上昇 |
| 慢性甲状腺炎(橋本病) | 無痛性、慢性経過、硬い腫大 | 抗TPO抗体陽性 |
補足事項
再発は稀だが、機能低下が長期化することもあるため経過観察が重要。ウイルス流行期に増加しやすい。甲状腺機能異常は数カ月で自然回復することが多い。