腰痛症
概要
腰痛症は腰部に痛みを生じる症候群で、特定の器質的疾患が明らかでないものを指す。加齢や姿勢、筋力低下など多因子が関与し、日常的に頻度が高い。慢性化しやすく、生活の質に大きな影響を及ぼすことがある。
要点
- 器質的疾患を除外した腰部の痛みが定義
- 姿勢、筋力、心理社会的要因が複合的に関与
- 慢性化や再発を防ぐための多面的管理が重要
病態・原因
腰痛症は椎間板や椎間関節、筋・筋膜などの支持組織の機能障害や炎症、過負荷が主な原因となる。加齢に伴う変性、運動不足、長時間の不良姿勢、ストレスなどがリスク因子となる。
主症状・身体所見
主症状は腰部の鈍痛や違和感で、安静時や動作時に増悪することが多い。下肢放散痛や神経学的異常がないことが特徴で、重篤な基礎疾患を示唆する所見(発熱、麻痺、排尿障害など)は認めない。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 単純X線 | 椎体配列・骨変化の有無を確認 | 器質的疾患の除外目的 |
| MRI/CT | 明らかな神経圧迫や腫瘍、感染の排除 | 必要時のみ施行 |
| 血液検査 | 炎症反応や腫瘍マーカーの確認 | 原因疾患疑う場合に追加 |
診断は主に問診と身体所見に基づき、重篤な器質的疾患(赤旗所見)が否定される場合に腰痛症とされる。画像検査は除外診断として用い、明らかな異常がなければ機能性腰痛と判断する。
治療
- 第一選択:生活指導、運動療法、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
- 補助療法:理学療法、心理的アプローチ、温熱療法
- 注意点:長期安静の回避、再発予防のための運動継続
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 腰椎椎間板ヘルニア | 下肢放散痛・神経症状 | MRIで突出所見 |
| 脊柱管狭窄症 | 間欠性跛行・下肢しびれ | MRIで狭窄所見 |
| 化膿性脊椎炎 | 発熱・安静時痛・炎症所見 | MRI・血液検査異常 |
補足事項
腰痛症の多くは数週間以内に自然軽快するが、慢性化例では心理社会的因子の評価と包括的アプローチが重要となる。赤旗所見には常に注意し、見逃さないことが求められる。