肝膿瘍

概要

肝膿瘍は肝臓内に膿が貯留する感染症で、細菌性(化膿性)とアメーバ性に大別される。発熱や右季肋部痛、全身状態の悪化をきたし、重症化すると敗血症や多臓器不全に進展することがある。画像診断と膿の培養による原因同定が重要で、治療は抗菌薬とドレナージが中心となる。

要点

  • 細菌性とアメーバ性に分類される肝臓の感染性疾患
  • 発熱・右季肋部痛・肝腫大などが主な症状
  • 画像診断とドレナージ、抗菌薬治療が治療の柱

病態・原因

肝膿瘍は主に腸管由来の細菌が門脈経由で肝臓に到達し、肝実質内で膿瘍を形成する。胆道感染や虫垂炎、憩室炎など腹腔内感染症の続発が多い。アメーバ性はEntamoeba histolyticaの感染が原因となる。

主症状・身体所見

発熱、悪寒、右季肋部痛、肝腫大、黄疸などがみられる。重症例ではショックや意識障害、腹膜炎症状を呈することもある。高齢者や糖尿病患者では症状が非典型的な場合もある。

検査・診断

検査所見補足
腹部超音波低エコー域(膿瘍像)膿瘍の部位・大きさ・個数の評価に有用
腹部CT/MRI低吸収域(膿瘍像)被膜形成・内部の液体貯留像を確認できる
血液培養菌陽性の場合あり原因菌同定、抗菌薬選択に重要
膿瘍穿刺培養膿からの菌検出グラム染色・培養で原因菌を同定

画像検査で肝内に液体貯留性病変を認め、穿刺吸引で膿の存在を確認することで診断される。血液培養や膿瘍内容の培養で原因菌の同定が重要。アメーバ抗体測定も鑑別に有用。

治療

  • 第一選択:広域抗菌薬投与(セフェム系、カルバペネム系など)+経皮的ドレナージ
  • 補助療法:支持療法(輸液、栄養管理)、基礎疾患の治療
  • 注意点:早期治療が予後改善に重要、重症例は外科的ドレナージも検討

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
肝細胞癌腫瘍マーカー上昇、慢性肝疾患合併造影CTで腫瘍性増強像
肝囊胞無症状・感染徴候なし画像で内容物が均一な水様性
肝内胆管癌黄疸・胆道拡張を伴うことあり造影CTで胆管浸潤像

補足事項

糖尿病や免疫抑制患者では発症リスクが高く、診断が遅れる傾向がある。膿瘍の多発や巨大化、膿瘍破裂による腹膜炎・敗血症にも注意が必要。アメーバ性肝膿瘍ではメトロニダゾールが特効薬となる。

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