発育性股関節形成不全

概要

発育性股関節形成不全は、股関節の発達過程において臼蓋や大腿骨頭の形態異常が生じる疾患である。乳幼児期に発見されることが多く、股関節の亜脱臼や脱臼を呈する。早期診断・治療が予後改善に重要となる。

要点

  • 乳幼児の股関節発育異常による可動域制限や跛行が主症状
  • 早期発見と装具療法が予後を左右する
  • 放置すると変形性股関節症の原因となる

病態・原因

胎内環境や遺伝的素因、逆子分娩、家族歴、関節弛緩性の高さなどがリスク因子となる。臼蓋の形成不全や大腿骨頭の位置異常が生じ、股関節の不安定性や脱臼をきたす。

主症状・身体所見

乳児では開排制限、下肢長差、大腿皮膚溝の非対称、クリック音(Ortolani徴候、Barlow徴候)などがみられる。歩行開始後は跛行や異常歩行が認められることがある。

検査・診断

検査所見補足
超音波検査臼蓋形成不全、大腿骨頭の位置異常新生児・乳児期に有用
X線検査臼蓋角増大、Shenton線の不連続、大腿骨頭逸脱6か月以降で評価が可能

新生児期は超音波が第一選択であり、6か月以降はX線検査が主となる。Ortolani徴候やBarlow徴候の身体所見も診断に重要。臼蓋形成や関節の安定性評価がポイントとなる。

治療

  • 第一選択:リーメンビューゲル装具などの装具療法
  • 補助療法:開排保持、理学療法、経過観察
  • 注意点:治療開始の遅れや不適切な治療は変形性股関節症のリスク

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
Perthes病学童期発症、骨頭壊死X線で骨頭扁平化・壊死像
大腿骨頭すべり症思春期、肥満児に多い、急性の股関節痛X線で骨頭の後下方すべり
化膿性股関節炎発熱・炎症反応、急性経過血液検査で炎症所見、関節穿刺

補足事項

日本では女児や逆子分娩児に多い傾向がある。早期治療が予後改善に強く影響し、装具療法に抵抗性の場合は手術療法も考慮される。成人期には変形性股関節症の原因となるため、長期フォローが重要。

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