外傷性股関節脱臼
概要
外傷性股関節脱臼は、強い外力によって大腿骨頭が寛骨臼から逸脱する外傷性疾患である。交通事故や高所からの転落など、激しい外力が主な原因となる。早期整復と合併症予防が重要となる。
要点
- 高エネルギー外傷により発生する
- 早期整復が予後改善に不可欠
- 骨頭壊死や神経損傷などの合併症に注意
病態・原因
主に交通事故や転落などの高エネルギー外傷により、大腿骨頭が寛骨臼から逸脱して発生する。特に自動車事故のダッシュボード外傷で多く、若年成人男性に多い傾向がある。
主症状・身体所見
患側下肢の短縮、股関節の強い疼痛と可動域制限を認める。後方脱臼では下肢内旋・内転位、前方脱臼では外旋・外転位となる。坐骨神経麻痺を伴う場合もある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| X線検査 | 大腿骨頭の逸脱(前方または後方) | 方向・骨折合併の確認 |
| CT/MRI | 関連骨折、軟部組織損傷、骨頭壊死の評価 | 詳細な損傷範囲の把握 |
X線で脱臼方向と骨折の有無を評価する。CTやMRIは骨折の詳細や軟部組織損傷、骨頭壊死リスクの評価に有用。診断は臨床症状と画像所見で確定する。
治療
- 第一選択:緊急整復(徒手整復または観血的整復)
- 補助療法:安静、牽引、リハビリテーション
- 注意点:整復遅延による骨頭壊死や神経障害のリスク管理
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 大腿骨頸部骨折 | 下肢短縮・外旋、歩行不能 | X線で骨折線を認める |
| 発育性股関節形成不全 | 小児期発症、歩行異常 | X線で臼蓋形成不全 |
補足事項
整復後は定期的な画像フォローが必要であり、骨頭壊死や遅発性関節症の発生に注意する。神経障害や再脱臼のリスクにも留意する。