癌性腹膜炎

概要

癌性腹膜炎は、主に消化管や婦人科系の悪性腫瘍が腹膜に播種・転移し、腹膜炎症状や腹水貯留をきたす状態。進行癌の合併症として発症し、予後不良である。診断・治療ともに緩和的対応が中心となる場合が多い。

要点

  • 原発癌の腹膜播種による腹膜炎症候群
  • 腹水貯留・消化管症状が主体
  • 予後不良で支持療法が中心

病態・原因

消化管癌(胃癌、大腸癌など)、卵巣癌、膵癌などの進行癌が腹腔内に播種し、腹膜面に腫瘍細胞が付着・増殖することで発症する。腫瘍細胞からの炎症性サイトカインや腹膜刺激により腹水が増加し、腹膜炎症状を呈する。

主症状・身体所見

腹部膨満感、腹痛、悪心・嘔吐、食欲不振、体重減少がみられる。腹水貯留による腹部膨隆、浮腫、腸雑音減弱、腹膜刺激症状を認めることもある。

検査・診断

検査所見補足
腹部CT腹水貯留、腹膜肥厚・結節原発巣・他臓器転移の評価も重要
腹水穿刺悪性細胞の検出細胞診で診断確定に有用
血液検査腫瘍マーカー上昇CEA, CA19-9, CA125など

腹部画像で腹水や腹膜結節を認め、腹水細胞診で悪性細胞が検出されれば診断的。原発癌の既往や腫瘍マーカーの上昇も参考となる。

治療

  • 第一選択:原発癌に対する化学療法・分子標的薬
  • 補助療法:腹水穿刺・ドレナージ、腹水濃縮再静注、支持療法(利尿薬・輸液・疼痛管理)
  • 注意点:腹水コントロール困難例が多く、QOL重視の緩和ケアが重要

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
急性腹膜炎感染症由来・急性経過腹水細胞診で悪性細胞なし
肝硬変による腹水慢性肝疾患の既往・腹水成分腹水蛋白・細胞診で悪性細胞陰性

補足事項

癌性腹膜炎は全身状態の悪化と関連し、積極的治療が困難なことが多い。腹水濃縮再静注療法(CART)などもQOL維持のために検討される。

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