髄膜癌腫症

概要

髄膜癌腫症は、悪性腫瘍が髄膜へ播種し、脳脊髄液中に腫瘍細胞が散布される状態を指す。主に乳癌、肺癌、悪性リンパ腫などの進行例でみられる。中枢神経系の多彩な神経症状を呈し、予後は極めて不良である。

要点

  • 中枢神経症状の多発・進行性が特徴
  • 髄液細胞診で腫瘍細胞の検出が決め手
  • 原発癌の進行例に多く、治療は対症的

病態・原因

悪性腫瘍細胞が血行性または直接浸潤により髄膜に播種し、脳脊髄液中に広がることで発症する。乳癌、肺癌、悪性リンパ腫などが主な原発巣であり、進行例で多い。血液脳関門を越えて腫瘍細胞が中枢神経系に到達する。

主症状・身体所見

頭痛、悪心・嘔吐、意識障害、複視、聴力障害、運動麻痺、感覚障害など多彩な神経症状が急速進行する。髄膜刺激症状や脳神経障害、脊髄障害もみられる場合がある。

検査・診断

検査所見補足
髄液細胞診悪性腫瘍細胞の検出診断のゴールドスタンダード
MRI(造影)髄膜のびまん性造影増強、脳室周囲の異常信号感度は限定的
髄液生化学蛋白増加、細胞数増加、糖低下非特異的

髄液細胞診で腫瘍細胞が検出されれば確定診断となる。MRI造影で髄膜のびまん性造影増強や脳室周囲の異常信号が補助的診断となる。髄液生化学異常は非特異的。

治療

  • 第一選択:髄腔内化学療法(メトトレキサートなど)、全脳・脊髄照射
  • 補助療法:対症療法(鎮痛、抗痙攣薬、ステロイドなど)
  • 注意点:予後不良であり、支持療法が中心となることが多い

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
細菌性髄膜炎発熱・急性経過・炎症反応強い髄液細胞診で腫瘍細胞なし
癌性腹膜炎腹膜症状・腹水画像・腹水細胞診
転移性脳腫瘍単発/多発腫瘤性病変MRIで腫瘤形成を認める

補足事項

髄膜癌腫症は腫瘍の終末期に多く、根治的治療は困難である。早期発見・治療介入でも予後改善は限定的であり、QOL維持が重要となる。

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