慢性腹膜炎
概要
慢性腹膜炎は腹膜の炎症が数週間以上持続する状態で、結核や真菌、腫瘍、自己免疫疾患など多様な原因によって発症する。慢性的な腹痛や腹部膨満、体重減少などがみられ、診断と治療には原因検索が重要となる。
要点
- 結核性・非結核性感染、腫瘍、自己免疫など多彩な原因
- 腹痛、腹部膨満、全身症状が慢性的に持続
- 診断と治療は原因疾患の特定が最重要
病態・原因
慢性腹膜炎は腹膜における長期的な炎症反応であり、結核菌や真菌など難治性感染、悪性腫瘍の腹膜播種、自己免疫疾患(膠原病)などが主な原因となる。持続的な炎症により線維化や癒着が進行することがある。
主症状・身体所見
慢性の腹痛、腹部膨満、食欲不振、体重減少、発熱が主な症状である。腹部の圧痛や腹水貯留、腹部腫瘤が触知されることもある。急性腹膜炎と異なり、症状は緩徐に進行する。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 腹部画像検査 | 腹水、腹膜肥厚、癒着 | CTやMRIで評価 |
| 腹水検査 | リンパ球優位、ADA高値、細菌 | 結核性ではADA上昇が特徴的 |
| 腹膜生検 | 肉芽腫形成、腫瘍細胞 | 病理組織で確定診断 |
腹水中のADA(アデノシンデアミナーゼ)高値やリンパ球優位は結核性腹膜炎の示唆となる。画像検査で腹膜の肥厚や結節、腹水の有無を確認し、確定診断には腹膜生検が有用である。
治療
- 第一選択:原因疾患に応じた治療(抗結核薬、抗真菌薬、抗腫瘍薬など)
- 補助療法:腹水コントロール、栄養管理、支持療法
- 注意点:原因疾患の検索と早期治療、癒着や腸閉塞の合併に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性腹膜炎 | 発症が急激、激しい腹痛 | 炎症反応高値、腹水は漿液性 |
| 癌性腹膜炎 | 既知の悪性腫瘍、腹膜播種像 | 腹水中に腫瘍細胞 |
| 結核性腹膜炎 | 発熱・盗汗・体重減少 | 腹水ADA高値、リンパ球優位 |
補足事項
慢性腹膜炎は原因疾患の特定が治療成績を左右するため、腹水検査や腹膜生検など積極的な精査が重要である。特に結核性腹膜炎は高齢者や免疫抑制患者で増加傾向にある。