巣状糸球体硬化症
概要
巣状糸球体硬化症(FSGS)は、腎臓の糸球体の一部に限局的な硬化と瘢痕形成をきたす疾患。主にネフローゼ症候群の原因となり、進行すると慢性腎不全に至ることがある。小児から成人まで幅広い年齢層に発症する。
要点
- 糸球体の一部(巣状)に限局した硬化病変が特徴
- 難治性ネフローゼ症候群の代表的原因
- 進行例では慢性腎不全に移行しやすい
病態・原因
糸球体の一部の毛細血管係蹄が硬化・消失し、蛋白尿を呈する。一次性(特発性)のほか、ウイルス感染、薬剤、肥満、遺伝子異常などの二次性もある。ポドサイト障害が中心的な役割を果たす。
主症状・身体所見
高度蛋白尿による浮腫、ネフローゼ症候群(低アルブミン血症、脂質異常症)、しばしば高血圧を伴う。血尿や腎機能障害も進行例で認める。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 尿検査 | 高度蛋白尿、時に血尿 | 選択的蛋白尿は少ない |
| 腎生検 | 巣状・分節状の糸球体硬化像 | 光・電子顕微鏡で診断 |
| 血液生化学 | 低アルブミン血症、脂質異常症 | ネフローゼ症候群の所見 |
腎生検により糸球体の一部に限局した硬化・瘢痕形成を確認することで確定診断となる。電子顕微鏡でポドサイトの足突起消失が特徴的。免疫染色では非特異的。
治療
- 第一選択:副腎皮質ステロイド薬投与
- 補助療法:免疫抑制薬(シクロスポリン等)、降圧薬、利尿薬、脂質管理
- 注意点:ステロイド抵抗例は腎不全進行リスクが高く、定期的な腎機能評価が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 微小変化群 | 小児に多く、ステロイド反応性が高い | 光顕で異常なし、電子顕で足突起消失 |
| 膜性腎症 | 成人に多く、免疫複合体沈着を伴う | 免疫染色でIgG・C3沈着 |
| IgA腎症 | 血尿主体、上気道感染後悪化 | 免疫染色でIgA沈着 |
補足事項
難治例や再発例では腎移植後の再発も問題となる。近年では遺伝子異常による遺伝性FSGSの報告も増えている。