微小変化群
概要
微小変化群は、主に小児に発症するネフローゼ症候群の代表的原因であり、糸球体の光学顕微鏡的異常が乏しいことが特徴。電子顕微鏡で足突起の癒合が認められ、蛋白尿が高度に出現する。予後は比較的良好で、ステロイド治療に対する反応性が高い。
要点
- 小児ネフローゼ症候群の最多原因
- 光学顕微鏡で明らかな異常を認めない
- ステロイド治療に高い反応性を示す
病態・原因
微小変化群は主にT細胞異常によるサイトカイン産生増加が糸球体上皮細胞(足細胞)に障害を与え、足突起癒合を生じる。これにより糸球体の選択的透過性が破綻し、大量の蛋白尿が発生する。リスク因子としてウイルス感染やアレルギー素因が挙げられる。
主症状・身体所見
主要症状は浮腫であり、顔面・下腿・眼瞼などに著明なむくみが出現する。高度蛋白尿による低アルブミン血症、脂質異常症も特徴であり、しばしば乏尿や体重増加を伴う。血圧は正常域であることが多い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 尿検査 | 高度蛋白尿(選択性アルブミン尿) | 赤血球円柱や顕微鏡的血尿は稀 |
| 血液検査 | 低アルブミン血症、脂質異常症 | 腎機能は通常正常 |
| 腎生検 | 光学顕微鏡で異常なし、電子顕微鏡で足突起癒合 | 診断確定や難治例で施行 |
診断は臨床症状と検査所見で行うが、典型例では腎生検を省略することも多い。腎生検では電子顕微鏡的に足突起癒合が特徴的である。
治療
- 第一選択:副腎皮質ステロイド薬(プレドニゾロンなど)
- 補助療法:浮腫管理(利尿薬)、感染予防、栄養管理
- 注意点:再発例やステロイド抵抗例では免疫抑制薬も考慮
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 膜性腎症 | 成人発症が多く、非選択性蛋白尿 | 光顕で基底膜肥厚 |
| 巣状糸球体硬化症 | ステロイド抵抗例や進行性腎障害を呈する | 一部糸球体の硬化像 |
| 糖尿病性腎症 | 糖尿病既往、進行性腎機能低下 | メサンギウム拡大・結節性病変 |
補足事項
成人発症例ではステロイド反応性が低下することがあり、再発や難治例では免疫抑制薬(シクロスポリン、タクロリムス等)を検討する。重篤な感染や血栓症のリスクにも注意が必要。