膜性腎症
概要
膜性腎症は、糸球体基底膜の肥厚を特徴とする原発性または続発性の糸球体疾患であり、成人ネフローゼ症候群の主な原因の一つである。自己免疫機序が発症に関与し、蛋白尿が高度となることが多い。
要点
- 成人ネフローゼ症候群の代表的原因
- 糸球体基底膜の肥厚が病理学的特徴
- 自己免疫や二次性要因が発症に関与
病態・原因
膜性腎症は、主に自己抗体による糸球体基底膜の損傷を基盤とし、免疫複合体の沈着によって補体が活性化し、糸球体の障害が生じる。原発性と二次性(感染症、悪性腫瘍、薬剤、膠原病などに伴う)に分類される。
主症状・身体所見
高度の蛋白尿、浮腫、低アルブミン血症、脂質異常症などネフローゼ症候群の症状が主体となる。血圧上昇や血栓症の合併にも注意が必要である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 尿検査 | 高度蛋白尿、円柱尿 | ネフローゼ範囲(3.5g/日以上)の蛋白尿 |
| 血清検査 | 低アルブミン血症、脂質異常 | IgG4や抗PLA2R抗体陽性例も |
| 腎生検 | 糸球体基底膜肥厚 | 光顕・蛍光・電顕で診断確定 |
診断は腎生検による組織学的所見(基底膜のびまん性肥厚、免疫グロブリン沈着)が必須である。抗PLA2R抗体の測定が原発性膜性腎症の補助診断として有用である。
治療
- 第一選択:RAS阻害薬、利尿薬、必要に応じてステロイド・免疫抑制薬
- 補助療法:塩分・蛋白制限、脂質管理、抗凝固療法(血栓予防)
- 注意点:二次性原因の検索と治療、感染・血栓症リスク管理
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 微小変化群 | 小児に多く、ステロイド感受性が高い | 電顕で足突起癒合のみ、基底膜肥厚なし |
| 巣状糸球体硬化症 | 部分的な糸球体硬化巣 | 生検で硬化巣、蛋白尿持続しやすい |
補足事項
治療抵抗例ではリツキシマブなど新規免疫抑制療法も検討されている。長期経過で腎機能障害に進展することがあり、定期的なモニタリングが重要である。