吻合部潰瘍

概要

吻合部潰瘍は胃切除術後の消化管吻合部に生じる潰瘍性病変で、術後数ヶ月から数年で発症することが多い。再発しやすく、消化管出血や穿孔などの合併症をきたすこともある。ピロリ菌感染や胆汁逆流、吻合部の虚血などが関与する。

要点

  • 胃切除術後の吻合部に生じる潰瘍である
  • 出血や穿孔などの重篤な合併症を起こしうる
  • ピロリ菌感染や胆汁逆流など多因子が病因となる

病態・原因

主な発症機序は胃切除術後の消化管吻合部における粘膜防御機構の低下と、胃酸・胆汁の逆流、ピロリ菌感染、吻合部の虚血などが複合的に関与する。リスク因子としてはBillroth II法やRoux-en-Y法などの術式、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用、喫煙などが挙げられる。

主症状・身体所見

腹痛、特に上腹部痛や食後痛が主症状であり、悪心・嘔吐、体重減少もみられることがある。重症例では消化管出血による吐血・下血や、穿孔による急性腹症を呈することもある。

検査・診断

検査所見補足
上部消化管内視鏡吻合部に潰瘍性病変を認める潰瘍の深さ・出血有無も評価可能
造影検査吻合部の不整像やニッチ像を認める穿孔や狭窄の有無も確認
ピロリ菌検査陽性の場合が多い除菌治療の適応判断に重要

内視鏡検査が診断の中心であり、潰瘍の形態や出血、穿孔の有無を評価する。造影検査は穿孔や狭窄の診断補助となる。ピロリ菌感染の有無も積極的に調べる。

治療

  • 第一選択:プロトンポンプ阻害薬(PPI)による薬物治療
  • 補助療法:ピロリ菌除菌、生活指導、NSAIDs中止
  • 注意点:再発防止のため長期管理と定期的な内視鏡フォローが重要

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
胃潰瘍胃体部・幽門部など吻合部以外に発生胃切除術歴の有無、内視鏡所見
十二指腸潰瘍十二指腸球部に発生、空腹時痛が特徴潰瘍の部位、術後の吻合部との位置関係

補足事項

再発率が高いため、術後患者には定期的な内視鏡検査とピロリ菌感染の評価が推奨される。難治例や合併症例では再手術が必要となることもある。

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