先天性胆道閉鎖症
概要
先天性胆道閉鎖症は、新生児期に発症する胆道系の進行性閉塞性疾患で、胆汁の流れが阻害されることにより肝障害と黄疸をきたす。放置すると肝硬変や肝不全に進展し、早期診断と治療が予後改善に重要となる。
要点
- 新生児期から持続する黄疸と淡色便が特徴
- 早期診断・外科的治療が予後を左右する
- 放置すれば肝硬変・肝不全に至る
病態・原因
胎生期または出生後早期に胆道系(主に肝外胆管)が炎症や線維化により閉塞し、胆汁排泄障害をきたす。原因は不明だが、ウイルス感染や免疫異常、遺伝的素因などが関与すると考えられている。
主症状・身体所見
持続する黄疸、淡色便、濃色尿が主症状である。肝腫大や皮膚掻痒、進行例では腹水や発育障害、出血傾向もみられる。新生児肝炎との鑑別が重要。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 直接型高ビリルビン血症、肝酵素上昇 | 早期より胆汁うっ滞型パターン |
| 腹部超音波 | 三角形徴候、胆嚢萎縮、肝腫大 | 胆道閉鎖の形態的評価 |
| 胆道シンチグラフィ | 胆汁排泄像の欠如 | 胆汁の十二指腸流入を確認 |
| 肝生検 | 胆汁うっ滞、胆管消失、線維化 | 診断確定や鑑別に有用 |
診断は持続性黄疸、直接型高ビリルビン血症、画像での胆道閉塞所見で疑い、肝生検や手術時胆道造影で確定する。超音波での三角形徴候や胆嚢萎縮も特徴的所見。
治療
- 第一選択:葛西手術(肝門部空腸吻合術)
- 補助療法:脂溶性ビタミン・栄養管理、感染予防
- 注意点:手術時期は生後60日以内が望ましい、肝移植検討例も
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 新生児肝炎 | ウイルス感染や代謝異常の既往 | 超音波で胆道閉塞像なし |
| 先天性胆道拡張症 | 胆管拡張・腹痛・膵炎合併 | 超音波・CTで胆管拡張確認 |
| 新生児黄疸 | 生理的経過で消退 | 直接型ビリルビン優位でない |
補足事項
早期診断・治療が予後を大きく改善するため、生後2週以降の持続性黄疸には必ず鑑別を要する。近年、肝移植の適応や成績も向上している。