先天性胆道拡張症
概要
先天性胆道拡張症は、胆管が先天的に異常拡張する疾患で、主に小児期に発症する。膵・胆管合流異常を伴うことが多く、胆汁うっ滞や膵液逆流による胆管炎や胆道癌のリスクが高まる。
要点
- 胆管の先天的な拡張が特徴
- 膵・胆管合流異常を高頻度で合併
- 胆道癌や胆管炎のリスクが増加
病態・原因
膵・胆管合流異常により膵液が胆管内へ逆流し、胆管壁の炎症や拡張が生じる。遺伝的要因や胎生期の発生異常が関与する。胆汁うっ滞や慢性的な炎症が病態進展に寄与する。
主症状・身体所見
腹痛、黄疸、腹部腫瘤が三徴とされる。嘔吐や発熱、皮膚掻痒感などもみられる。乳幼児では無症状のこともあるが、胆管炎や膵炎の発症で急性症状を呈することがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 腹部超音波 | 胆管拡張像 | 非侵襲的で初期スクリーニングに有用 |
| MRCP | 胆道系の拡張と形態異常 | 非侵襲的に詳細な胆道像を描出 |
| 腹部CT | 胆管拡張、合併症評価 | 胆管炎・膵炎・腫瘍の検索にも有用 |
MRCPやCTで胆管の拡張と膵・胆管合流異常を確認することが診断の決め手となる。診断基準には胆管径の拡大(通常10mm以上)や合流異常の有無が含まれる。
治療
- 第一選択:胆道拡張部の外科的切除+肝外胆管再建術(Roux-en-Y胆道空腸吻合)
- 補助療法:抗菌薬投与(合併する胆管炎時)、栄養管理
- 注意点:術後胆道癌発症リスクの長期的フォローが重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 先天性胆道閉鎖症 | 胆管が閉塞・消失、黄疸が遷延 | 胆管拡張なく、胆嚢・胆管が描出されない |
| 胆石症 | 胆石の有無、成人発症が多い | 超音波やCTで結石を確認 |
| 原発性硬化性胆管炎 | 多発性狭窄・拡張、自己免疫関連 | MRCPで“ビーズ状”胆管像 |
補足事項
日本・東アジアで発症頻度が高く、胆道癌のリスク管理が重要課題。成人例では無症候性に経過し、発見が遅れることがあるため注意を要する。