生理的黄疸
概要
生理的黄疸は新生児期にみられる一過性の黄疸であり、主にビリルビン代謝の未熟性によって生じる。出生後2〜3日目から発症し、通常1〜2週間以内に自然消退する。治療を必要としないことが多いが、経過観察が重要となる。
要点
- 新生児の約半数にみられる一過性の黄疸
- 2〜3日目に発症し1〜2週間で自然軽快
- 病的黄疸との鑑別が重要
病態・原因
出生直後の新生児では肝臓のビリルビン抱合能が未熟であり、赤血球の寿命も短いため間接型ビリルビンが増加しやすい。腸肝循環の活発化もビリルビンの再吸収を助長する。
主症状・身体所見
皮膚や眼球結膜の黄染が主症状で、全身状態は良好である。哺乳力や活動性の低下、貧血などは通常みられない。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 総ビリルビン値 | 軽度〜中等度の上昇(ピークは5〜7日目) | 通常15mg/dL以下 |
| 直接・間接ビリルビン | 間接型優位の上昇 | 直接型ビリルビンは正常範囲 |
ビリルビン値の経時的推移や全身状態の観察が重要。発症時期や持続期間、ビリルビン値の上昇速度などから病的黄疸(早発型、遷延型、直接型優位など)と鑑別する。
治療
- 第一選択:経過観察のみ
- 補助療法:哺乳量の確保
- 注意点:ビリルビン脳症の危険因子(早産児、低出生体重児など)や病的黄疸の徴候に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 母乳性黄疸 | 生後1週以降に遷延する黄疸 | ビリルビン値が長期に持続 |
| 新生児肝炎 | 直接型ビリルビン上昇、全身状態不良 | 直接型ビリルビンが高値 |
| 先天性胆道閉鎖症 | 便色脱失・肝腫大・遷延する黄疸 | 直接型ビリルビンが著明に上昇 |
補足事項
生理的黄疸は新生児の正常な生理現象であり、過度な治療や検査は不要。病的黄疸との鑑別を常に意識し、経過中に異常所見が出現した場合は早期に追加精査を行う。