母乳性黄疸
概要
母乳性黄疸は、母乳栄養児にみられる遷延性の黄疸であり、生後1週以降に始まり2~3週以降も持続することが特徴である。重篤な基礎疾患を伴わず、母乳中の成分がビリルビン代謝に影響することで発症する。
要点
- 生後1週以降の母乳栄養児に発症しやすい
- ビリルビン値は上昇するが、一般に予後良好
- 母乳栄養を中断することで速やかに改善する
病態・原因
母乳中に含まれるβ-グルクロニダーゼや未確認のホルモン様物質が腸肝循環を促進し、間接ビリルビンの再吸収を増加させることが主な原因とされる。遺伝的素因や個体差も関与する。
主症状・身体所見
生後1週以降に黄疸が出現し、2~3週以降も持続する。全身状態は良好で、哺乳力や体重増加も保たれることが多い。著明な肝脾腫や貧血、出血傾向などは認めない。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清ビリルビン | 主に間接型ビリルビンの上昇 | 直接型優位なら他疾患を鑑別 |
| 肝機能検査 | 多くは正常 | GOT・GPT・ALPなど |
| 母乳一時中断試験 | 黄疸の速やかな改善 | 24-48時間の中断で診断的価値 |
ビリルビン分画で間接型優位を確認し、肝機能や溶血所見が正常であることを確認する。母乳中断により黄疸が速やかに改善することが診断の決め手となる。
治療
- 第一選択:母乳の一時中断(24-48時間)または混合栄養
- 補助療法:光線療法(高値の場合)、経過観察
- 注意点:母乳再開後の再発に注意し、重篤な基礎疾患を除外する
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 生理的黄疸 | 生後2~3日で発症、1週間以内に消退 | ビリルビン値の推移と経過 |
| 新生児肝炎 | 直接型ビリルビン上昇、肝腫大あり | 肝機能異常・直接型優位 |
| 先天性胆道閉鎖症 | 便色脱失、肝腫大、持続性の黄疸 | 超音波・胆道系画像異常 |
補足事項
母乳性黄疸は予後良好であり、母乳栄養を継続できるよう保護者への説明が重要となる。光線療法が必要な場合は高ビリルビン血症に伴う核黄疸予防の観点から適応を判断する。