ループス腎炎
概要
ループス腎炎は全身性エリテマトーデス(SLE)に合併する糸球体腎炎であり、免疫複合体の沈着による腎組織障害が特徴である。臨床像は多様で、軽度の尿異常から急速進行性腎炎まで幅広い。早期診断と適切な治療が腎機能予後に直結する。
要点
- SLEに合併する代表的な二次性糸球体腎炎
- 病理分類と重症度で治療方針が決まる
- 免疫抑制療法が治療の中心
病態・原因
自己免疫機序により、抗dsDNA抗体などが免疫複合体を形成し腎糸球体に沈着することで発症する。遺伝的素因や環境要因も関与し、女性に多い。腎障害はSLE患者の重要な予後規定因子となる。
主症状・身体所見
蛋白尿、血尿、浮腫、高血圧などがみられ、重症例では急速進行性糸球体腎炎やネフローゼ症候群の症状を呈する。全身症状として発熱、関節痛、皮疹(蝶形紅斑)などSLEの所見も伴うことが多い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 尿検査 | 蛋白尿、血尿、円柱 | 活動性や重症度の指標となる |
| 腎生検 | 免疫複合体沈着、病理分類(ISN/RPS) | 診断・治療方針決定に必須 |
| 血液検査 | 補体低下、抗dsDNA抗体陽性 | SLE活動性の評価 |
診断はSLEの診断基準を満たし、かつ腎障害が認められる場合になされる。腎生検による病理分類(ISN/RPS分類)が重症度・治療選択の決定に不可欠。画像検査は主に他疾患除外や腎サイズ評価に用いる。
治療
- 第一選択:副腎皮質ステロイド+免疫抑制薬(シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル等)
- 補助療法:降圧薬、RAS阻害薬、利尿薬、感染予防
- 注意点:感染症リスク増大、再発予防のための維持療法と定期的モニタリング
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| IgA腎症 | 上気道感染後に血尿出現、IgA優位沈着 | 腎生検でメサンギウム優位IgA |
| 急速進行性糸球体腎炎 | 急激な腎機能低下、半月体形成 | 腎生検で半月体形成主体 |
| 微小変化群 | 小児に多い、選択的蛋白尿、浮腫 | 光学顕微鏡で異常なし、電顕で足突起消失 |
補足事項
腎生検の病理分類(ISN/RPS)は治療選択と予後予測に直結するため、定期的な再評価が重要。生殖年齢女性では治療薬の催奇形性にも注意が必要。