メトヘモグロビン血症
概要
メトヘモグロビン血症は、ヘモグロビン中の鉄が酸化されてメトヘモグロビンとなり、酸素運搬能が低下する状態を指す。先天性と後天性があり、薬剤や化学物質曝露が主な後天性原因となる。チアノーゼや低酸素症状を呈することが特徴である。
要点
- 酸素運搬障害によるチアノーゼが主徴
- 薬剤・化学物質曝露が後天性の主因
- メチレンブルーが治療の第一選択
病態・原因
メトヘモグロビン血症は、ヘモグロビン中の鉄(Fe2+)が酸化されてFe3+となることで発症する。先天性は還元酵素の異常、後天性は硝酸塩、アニリン、スルホナミド系薬剤などの曝露が原因となる。
主症状・身体所見
代表症状はチアノーゼで、特に口唇や末梢部に出現する。重症例では頭痛、めまい、息切れ、意識障害、頻脈などの低酸素症状がみられる。パルスオキシメーターと動脈血ガス分析の乖離が特徴的である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 動脈血ガス分析 | PaO2正常、SaO2低値 | パルスオキシメーターと乖離 |
| CO-オキシメーター | メトヘモグロビン値上昇 | 1.5%以上で疑い、20%以上で重症 |
| 血液外観 | チョコレート色 | 揮発性で変化しない |
メトヘモグロビン値の測定が診断の決め手となる。パルスオキシメーターでは低値を示すが、動脈血ガス分析のPaO2は正常である点が診断の手がかりとなる。
治療
- 第一選択:メチレンブルー静注
- 補助療法:高濃度酸素投与、原因薬剤の中止
- 注意点:G6PD欠損症ではメチレンブルー禁忌
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 一酸化炭素中毒 | チェリーレッドの皮膚、曝露歴 | COHb増加、PaO2正常 |
| チアノーゼ型先天性心疾患 | 小児発症、心雑音、奇形を伴うこと多い | 心エコーで構造異常 |
| 硫化水素中毒 | 腐卵臭、急性呼吸停止 | 硫化ヘモグロビン増加 |
補足事項
メチレンブルーの効果が乏しい場合や禁忌の場合は交換輸血やビタミンC投与を考慮する。薬剤性の場合は原因物質の特定と再曝露防止が重要である。