サラセミア

概要

サラセミアは、グロビン鎖の合成障害による遺伝性溶血性貧血の一群であり、主に地中海沿岸やアジア、アフリカに多い。α鎖またはβ鎖の合成障害により、無効造血と溶血が生じる。重症例では小児期から重篤な貧血や骨変形、鉄過剰症を呈する。

要点

  • グロビン鎖合成障害による遺伝性溶血性貧血
  • 小球性低色素性貧血・無効造血・骨髄拡大が特徴
  • 重症例は輸血依存・鉄過剰による臓器障害を来す

病態・原因

サラセミアはヘモグロビンのα鎖またはβ鎖の合成遺伝子異常により発症する。αサラセミアは主に遺伝子欠失、βサラセミアは点突然変異が主な原因である。異常なグロビン鎖バランスにより無効造血と溶血が進行する。

主症状・身体所見

小球性低色素性貧血、黄疸、脾腫、骨変形(頭蓋骨・顔面骨の肥厚)、成長障害がみられる。重症例では心不全や肝障害、鉄沈着による内分泌障害も認められる。

検査・診断

検査所見補足
血液検査小球性低色素性貧血、網赤血球増多、間接ビリルビン高値末梢血塗抹で標的赤血球もみられる
ヘモグロビン電気泳動異常ヘモグロビン分画の検出HbFやHbA2の増加(β型)
遺伝子検査グロビン遺伝子異常の同定α・βサラセミアの確定診断

診断は血液像とヘモグロビン分画分析が中心であり、確定診断には遺伝子検査が有用。画像検査で骨変形や脾腫を評価することもある。

治療

  • 第一選択:重症例では定期的輸血療法
  • 補助療法:鉄過剰対策として鉄キレート剤投与、葉酸補充
  • 注意点:骨髄移植が根治療法、鉄過剰による臓器障害に注意

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
鉄欠乏性貧血鉄低値・網赤血球減少・脾腫なしフェリチン低下、ヘモグロビン電気泳動正常
遺伝性球状赤血球症球状赤血球・脾腫・溶血性貧血オスモチック脆弱性試験陽性
鎌状赤血球症鎌状赤血球・慢性溶血・血管閉塞症状HbS検出、血液塗抹で鎌状赤血球

補足事項

サラセミアは無症候性保因者から重篤な輸血依存型まで表現型が多彩。発症頻度は高リスク地域で高く、遺伝カウンセリングが重要である。新規治療として遺伝子治療も研究されている。

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