ニトログリコール中毒
概要
ニトログリコール中毒は、爆薬や工業用途で使用されるニトログリコールの吸入、経口、経皮曝露によって生じる急性中毒である。主に循環器・神経系症状を呈し、重症例では生命に関わることがある。適切な救急対応と支持療法が重要となる。
要点
- 爆薬や工業現場での曝露が主な原因
- 血管拡張による頭痛や低血圧、メトヘモグロビン血症を来す
- 早期の曝露遮断と対症療法が治療の中心
病態・原因
ニトログリコールは有機硝酸エステルで、体内で一酸化窒素を産生し血管拡張作用を発揮する。工業現場や爆薬製造での吸入・皮膚吸収・経口摂取が主な曝露経路であり、大量曝露で急性中毒を生じる。
主症状・身体所見
急性中毒では激しい拍動性頭痛、悪心、嘔吐、めまい、顔面紅潮、動悸、低血圧、頻脈、時に失神や痙攣を認める。重症例ではメトヘモグロビン血症によるチアノーゼや意識障害が出現する。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液ガス分析 | メトヘモグロビン上昇 | チアノーゼや低酸素症状時 |
| 血圧・脈拍 | 低血圧、頻脈 | バイタルサインの変動 |
| 血液検査 | 乳酸上昇、肝腎障害所見 | 重症例で確認 |
ニトログリコールへの曝露歴と臨床症状、メトヘモグロビン血症の有無が診断のポイントとなる。重症例では心電図や腎・肝機能もチェックする。
治療
- 第一選択:曝露遮断、酸素投与、安静保持
- 補助療法:メトヘモグロビン血症にはメチレンブルー静注、輸液、対症療法
- 注意点:再曝露防止、重症例では集中治療管理が必要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 一酸化炭素中毒 | 頭痛・意識障害・曝露歴 | COHb上昇、メトHb正常 |
| メトヘモグロビン血症 | チアノーゼ・低酸素症状 | メトHb上昇、曝露物質確認 |
| シアン化水素中毒 | 呼吸困難・けいれん | 乳酸高値、シアン検出 |
補足事項
ニトログリコールはニトログリセリンと類似した血管拡張作用を持つが、中毒時はより強い神経・循環器症状を来しやすい。産業現場での曝露防止策や、救急現場での迅速な対応が重要である。