一酸化炭素中毒

概要

一酸化炭素中毒は、不完全燃焼によって発生する一酸化炭素(CO)を吸入することで生じる中毒。COはヘモグロビンと強く結合し、酸素運搬能を著しく低下させる。急性では意識障害や致死的経過をとることもあり、迅速な診断と治療が重要となる。

要点

  • 一酸化炭素は無色・無臭で気づきにくい
  • 低酸素血症による中枢神経症状が主体
  • 早期の高濃度酸素投与が治療の基本

病態・原因

一酸化炭素は酸素より約200~250倍の親和性でヘモグロビンと結合し、酸素運搬を阻害する。主な原因は火災、暖房器具、車の排気ガスなどによる不完全燃焼ガスの吸入である。細胞レベルでもミトコンドリアのシトクロム酸化酵素阻害による組織低酸素も関与する。

主症状・身体所見

頭痛、めまい、倦怠感、悪心・嘔吐などの非特異的症状から、意識障害、けいれん、昏睡、呼吸不全まで多彩な中枢神経症状を呈する。重症例ではチアノーゼが目立たないが、皮膚が桜色を呈することがある。

検査・診断

検査所見補足
血中COヘモグロビン濃度高値3%以上で中毒疑い、重症例は10~20%以上
動脈血液ガス分析低酸素血症PaO2は正常でもSaO2低下
頭部MRI大脳白質病変、淡蒼球病変遅発性脳症の評価に有用

CO中毒は臨床症状と曝露歴、COHb値で診断する。パルスオキシメーターはCOHbとO2Hbを区別できず過大評価となる。MRIは遅発性脳症の診断に役立つ。

治療

  • 第一選択:高濃度酸素投与(100%酸素、必要に応じ高圧酸素療法)
  • 補助療法:対症療法(気道確保、循環管理、けいれん対策等)
  • 注意点:曝露現場の安全確保、遅発性脳症への経過観察

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
メトヘモグロビン血症チョコレート色の皮膚・粘膜、薬剤歴COHb正常、MetHb高値
シアン化水素中毒火災現場・アーモンド臭、急激な経過COHb正常、乳酸アシドーシス
硫化水素中毒腐卵臭、現場状況、呼吸麻痺COHb正常、メトヘモグロビン正常

補足事項

遅発性脳症(遅発性神経精神障害)は、回復後1~2週間で認知障害やパーキンソニズムが出現することがあり注意が必要。家庭用ガス機器の安全対策や換気の徹底が予防に重要である。

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