ビタミンD欠乏症
概要
ビタミンD欠乏症は、ビタミンDの不足によりカルシウム代謝が障害され、骨の石灰化障害や筋力低下をきたす疾患である。小児ではくる病、成人では骨軟化症の主因となり、骨粗鬆症のリスクも増加する。消化管疾患や栄養障害、日照不足などが主な原因となる。
要点
- ビタミンDの欠乏により骨・筋障害が生じる
- 小児はくる病、成人は骨軟化症や骨粗鬆症を呈する
- 消化管吸収障害や日照不足が発症リスクとなる
病態・原因
ビタミンDは皮膚での紫外線照射や食事から摂取され、肝臓・腎臓で活性化される。欠乏の主因は日光曝露不足、偏食、消化管吸収障害、慢性腎疾患などである。これにより腸管からのカルシウム吸収が低下し、骨代謝異常をきたす。
主症状・身体所見
小児では骨の変形や成長障害(くる病)、成人では骨痛、筋力低下、易骨折性がみられる。重症例ではテタニーや歩行障害、脊柱の湾曲なども認められる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清25(OH)D | 低値 | ビタミンD欠乏の指標 |
| 血清カルシウム・リン | 低値 | しばしば低カルシウム・低リン血症 |
| 骨X線 | 骨の石灰化障害 | 骨軟化像や骨変形を認める |
血清25(OH)D値が20ng/mL未満でビタミンD欠乏と診断される。骨X線で骨端線拡大や骨軟化像が特徴的。重症例では副甲状腺ホルモン(PTH)高値も認められる。
治療
- 第一選択:ビタミンD製剤の補充(経口または注射)
- 補助療法:カルシウム製剤投与、適切な日光浴、食事指導
- 注意点:過量投与による高カルシウム血症に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| くる病 | 小児で骨変形・成長障害 | 骨端線拡大、低カルシウム血症 |
| 骨軟化症 | 成人で骨痛・筋力低下 | 骨石灰化障害、25(OH)D低値 |
補足事項
高齢者や慢性疾患患者、屋内生活者では特に発症リスクが高い。近年の生活様式変化により潜在的なビタミンD欠乏例が増加傾向にある。