ビタミンD過剰症
概要
ビタミンD過剰症は、過剰なビタミンD摂取により高カルシウム血症を引き起こし、腎障害や消化器症状、神経症状など多彩な臓器障害を呈する病態。サプリメントや医原性による発症が多く、乳幼児や高齢者でのリスクが高い。早期発見と原因除去が重要である。
要点
- ビタミンDの過剰摂取により高カルシウム血症が生じる
- 消化器・腎・神経系など多臓器に障害をきたす
- 治療はビタミンD中止と支持療法が中心
病態・原因
ビタミンDの過剰摂取により腸管からのカルシウム吸収が増加し、高カルシウム血症を来す。主な原因はサプリメントや医療用製剤の過剰投与であり、小児や高齢者での発症リスクが高い。まれに自己判断による誤用もある。
主症状・身体所見
悪心・嘔吐、食欲不振、便秘、口渇、多飲多尿、筋力低下、意識障害などがみられる。重症例では腎障害や心電図異常、精神症状が出現することもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清カルシウム | 高値 | 高カルシウム血症の確認 |
| 25(OH)D | 高値 | ビタミンD過剰の証明 |
| 血清クレアチニン | 上昇 | 腎障害の評価 |
血清カルシウム値の上昇と25(OH)Dの高値が診断の中心となる。副甲状腺ホルモン(PTH)は抑制されることが多い。腎機能障害や尿中カルシウム排泄の増加も参考となる。
治療
- 第一選択:ビタミンD製剤の中止とカルシウム摂取制限
- 補助療法:輸液・利尿薬による高カルシウム血症の是正
- 注意点:重症例ではビスホスホネートやステロイドを検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 原発性副甲状腺機能亢進症 | PTH高値、ビタミンD正常 | PTH上昇、25(OH)D正常 |
| 悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症 | 既往歴、腫瘍マーカー、PTHrP高値 | PTH低値、PTHrP高値、25(OH)D正常 |
補足事項
ビタミンDは脂溶性で体内蓄積性が高く、過剰摂取による症状は遅れて発現する。サプリメントや健康食品による無自覚な過剰摂取に注意が必要。慢性腎障害患者や小児では特に慎重な管理が求められる。