うっ滞性皮膚炎
概要
うっ滞性皮膚炎は、主に下肢の静脈うっ滞を背景に発症する慢性の湿疹性皮膚炎である。中高年以降の下肢静脈瘤や慢性静脈不全患者に多く、皮膚の色素沈着や潰瘍形成を伴うことが特徴。適切な循環管理と皮膚ケアが重要となる。
要点
- 下肢の慢性静脈うっ滞に伴い発症
- 色素沈着や鱗屑、皮膚潰瘍を生じやすい
- 再発防止には原因治療とスキンケアが必須
病態・原因
主な原因は下肢の慢性静脈不全や静脈弁不全による静脈うっ滞である。静脈圧の上昇により毛細血管の透過性が亢進し、血漿成分の漏出や炎症が生じることで皮膚炎が発症する。肥満や長時間の立位、加齢もリスクとなる。
主症状・身体所見
下腿内側を中心に紅斑、鱗屑、色素沈着、苔癬化がみられる。慢性化すると硬結や潰瘍、湿潤、二次感染を伴うこともある。皮膚の萎縮や痒みも頻繁に認められる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 皮膚視診 | 下肢の紅斑・鱗屑・色素沈着 | 潰瘍や苔癬化の有無も確認 |
| 下肢静脈エコー | 静脈弁不全・静脈拡張・うっ滞所見 | 慢性静脈不全の評価に有用 |
| 皮膚生検(必要時) | 湿疹性変化、色素沈着、血管周囲炎症細胞浸潤 | 他疾患との鑑別目的で施行 |
診断は臨床所見と静脈うっ滞の存在で行う。慢性静脈不全の評価には下肢静脈エコーが有用であり、必要に応じて皮膚生検を追加する。
治療
- 第一選択:圧迫療法(弾性ストッキング)、原因となる静脈疾患の治療
- 補助療法:保湿剤・ステロイド外用・抗ヒスタミン薬、適切な皮膚ケア
- 注意点:潰瘍や感染の管理、長期的な再発予防策の徹底
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| アトピー性皮膚炎 | 年齢・分布・既往歴、家族歴 | 静脈うっ滞所見なし |
| 接触皮膚炎 | アレルゲン曝露部位に一致する皮疹 | パッチテスト陽性 |
| 褥瘡 | 圧迫部位に一致、運動障害や寝たきり | 静脈うっ滞は伴わない |
補足事項
慢性的な経過をたどることが多く、再発を繰り返す例も多い。圧迫療法の継続や生活指導、適切な皮膚ケアが長期管理の鍵となる。糖尿病や心不全の合併時は治癒遅延に注意。