(先天性)血友病

概要

(先天性)血友病は、先天的な凝固因子(主に第VIII因子または第IX因子)の欠損・異常により、止血障害をきたすX連鎖劣性遺伝性疾患である。主に男性に発症し、関節や筋肉内出血を繰り返すことが特徴である。

要点

  • 第VIII因子(A型)または第IX因子(B型)の機能低下が本態
  • 関節内出血や筋肉内出血を反復しやすい
  • 治療は欠損因子補充療法が中心

病態・原因

X染色体上の遺伝子異常により、第VIII因子(血友病A)または第IX因子(血友病B)の合成が低下・欠損する。母親が保因者で、男性に発症することが多い。凝固カスケードが障害され、止血が遅延する。

主症状・身体所見

軽微な外傷でも皮下・筋肉内・関節内出血を生じる。特に膝・肘などの大関節に反復性の出血(血友病性関節症)をきたし、慢性関節障害に至ることがある。乳幼児期からの易出血傾向が特徴的。

検査・診断

検査所見補足
APTT延長PT正常、内因系凝固障害を示唆
凝固因子活性第VIII因子または第IX因子低下活性値30%未満で診断確定
PT正常外因系は障害されない

APTT延長と特異的凝固因子活性の低下が診断の決め手となる。家族歴や遺伝子解析も診断補助となる。出血傾向の既往や関節症状も重要な診断根拠である。

治療

  • 第一選択:欠損凝固因子製剤の定期補充療法
  • 補助療法:止血剤(トラネキサム酸)、リハビリテーション
  • 注意点:インヒビター(抗体)出現時はバイパス製剤等を考慮

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
von Willebrand病鼻出血・月経過多が目立つvWF低下、APTT軽度延長
後天性血友病高齢発症、自己抗体の存在APTT延長、因子活性低下、自己抗体

補足事項

治療抵抗性例ではインヒビター(中和抗体)出現が問題となる。遺伝カウンセリングや新規治療(遺伝子治療、非因子製剤)の進歩も注目される。

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