Glanzmann病
概要
Glanzmann病は先天性の血小板機能異常症であり、血小板膜糖蛋白IIb/IIIa複合体の欠損または機能不全によって血小板凝集が障害される。常染色体劣性遺伝形式をとり、幼少期から反復する出血傾向を示す。凝固因子は正常であるが、止血困難な出血が特徴となる。
要点
- 血小板凝集障害による出血傾向が主症状
- 血小板数・凝固因子は正常で機能検査で診断
- 血小板輸血が主な治療法で、重症例では造血幹細胞移植も考慮
病態・原因
本症は血小板膜上の糖蛋白IIb/IIIa(インテグリンαIIbβ3)の遺伝的異常により、フィブリノーゲンを介した血小板同士の凝集が障害される。常染色体劣性遺伝で発症し、男女差はない。家族歴がみられることも多い。
主症状・身体所見
鼻出血や歯肉出血、皮下出血、月経過多、消化管出血などが反復しやすい。新生児期から出血傾向が明らかとなることもある。関節内出血や筋肉内出血は比較的少ない。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血小板数・凝固因子 | 正常 | 血小板減少や凝固因子異常は認めない |
| 血小板凝集能検査 | ADP・コラーゲン・エピネフリンで低下 | リストセチンによる凝集は正常 |
| フローサイトメトリー | GPIIb/IIIa抗原の減少または消失 | 遺伝子検査で確定診断可能 |
血小板凝集能検査でADPやコラーゲン刺激に対する凝集低下が特徴的。リストセチン刺激では正常反応を示す。フローサイトメトリーでGPIIb/IIIaの発現低下が診断の決め手となる。
治療
- 第一選択:血小板輸血
- 補助療法:抗線溶薬(トラネキサム酸)や局所止血
- 注意点:反復輸血で抗血小板抗体が生じる場合は造血幹細胞移植も検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Bernard-Soulier症候群 | 巨大血小板・血小板減少 | GPIb異常・リストセチン凝集低下 |
| von Willebrand病 | 粘膜出血・家族歴 | vWF活性低下・リストセチン凝集低下 |
| アスピリン様障害 | 薬剤歴・軽度出血 | ADP・コラーゲン凝集低下・薬剤歴あり |
補足事項
重症例では造血幹細胞移植が根治的治療となる。血小板輸血による抗体産生や感染症リスクに注意が必要。遺伝子診断の進展により、家族内発症のリスク評価が可能となっている。