解離性障害
概要
解離性障害は、記憶や意識、自己同一性などの統合が一時的に障害される精神疾患群。主に強いストレスやトラウマ体験が発症の契機となり、現実感の喪失や記憶の抜け落ちなど多彩な症状を呈する。身体疾患や器質的障害を伴わず、精神的要因が中心となる。
要点
- 強いストレスやトラウマが発症の背景となる
- 記憶障害・現実感喪失・自己同一性障害など多様な症状
- 器質的疾患や他の精神疾患との鑑別が重要
病態・原因
心理的ストレスやトラウマ体験が引き金となり、意識・記憶・自己同一性の統合が破綻する。発症には素因(感受性の高さ、幼少期の逆境体験など)が関与することが多い。脳の器質的異常は認められない。
主症状・身体所見
健忘、離人症、現実感喪失、トランス状態、解離性遁走、解離性同一性障害(多重人格)などがみられる。身体症状は非特異的で、神経学的異常は通常認めない。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 神経学的検査 | 器質的異常なし | 除外診断のため実施 |
| 心理検査(DESなど) | 解離傾向の評価 | 自己記入式尺度などを併用 |
| 画像検査(MRI/CT) | 異常所見なし | 器質疾患の除外目的 |
診断はDSM-5などの診断基準を用い、器質的疾患や他の精神疾患を除外したうえで、解離症状の有無を評価する。心理検査や面接による症状の詳細な聴取が重要となる。
治療
- 第一選択:精神療法(支持的精神療法、認知行動療法、トラウマフォーカスト療法など)
- 補助療法:薬物療法(うつ・不安合併時に抗うつ薬や抗不安薬)、環境調整
- 注意点:症状の悪化を避けるため急激な記憶想起や過度なストレス負荷は避ける
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| うつ病 | 抑うつ気分・意欲低下が主 | 解離症状は少ない |
| 統合失調症 | 妄想・幻覚など陽性症状 | 思考障害・現実検討力低下 |
| 身体表現性障害 | 身体症状が主で解離症状は希薄 | 器質的異常なし |
補足事項
解離性障害は児童・青年期に多く、慢性化や他の精神疾患との併存もみられる。近年はトラウマインフォームドケアの重要性が強調されている。