腸結核
概要
腸結核は結核菌(Mycobacterium tuberculosis)によって消化管、特に回盲部を中心に発症する慢性炎症性疾患である。肺結核に続発することが多く、腸管の狭窄や穿孔など重篤な合併症を起こすことがある。診断や治療には肺結核と同様のアプローチが必要となる。
要点
- 回盲部を中心に発症しやすい慢性炎症性腸疾患
- 肺結核の既往や同時罹患例が多い
- 狭窄や穿孔などの合併症に注意
病態・原因
腸結核は主に結核菌の経口摂取や血行性播種、あるいは肺結核からの痰飲下によって腸管に感染し、慢性的な肉芽腫性炎症を引き起こす。免疫低下状態や結核流行地域で発症リスクが高い。
主症状・身体所見
腹痛、体重減少、下痢、発熱、全身倦怠感などがみられる。右下腹部腫瘤や圧痛、腸閉塞症状、時に消化管出血や穿孔も起こる。慢性経過が多く、炎症性腸疾患との鑑別が必要。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 便培養・PCR | 結核菌陽性 | 感染の直接証明 |
| 腹部画像(CT/造影X線) | 回盲部肥厚・狭窄 | 腸管壁肥厚や腸閉塞像 |
| 内視鏡 | 潰瘍・狭窄・結節 | 生検で乾酪性肉芽腫 |
結核菌の検出(培養、PCR)、組織生検での乾酪性肉芽腫、画像所見(回盲部肥厚や狭窄)などを総合して診断する。肺結核の合併も確認する。
治療
- 第一選択:抗結核薬(リファンピシン、イソニアジド、エタンブトール、ピラジナミドの多剤併用)
- 補助療法:栄養管理、腸閉塞時の外科的治療
- 注意点:治療期間は通常6~9か月、耐性菌や再発に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Crohn病 | 非乾酪性肉芽腫、肛門病変 | 結核菌陰性、ASCA陽性例あり |
| 潰瘍性大腸炎 | 連続性病変、直腸優位 | 回盲部病変少、乾酪性肉芽腫なし |
補足事項
腸結核は炎症性腸疾患との鑑別が難しいことが多く、内視鏡生検や培養、PCRによる確定診断が重要である。日本では減少傾向だが、免疫抑制患者や結核流行地域では依然として注意が必要。