結核性脊柱炎
概要
結核性脊柱炎は結核菌(Mycobacterium tuberculosis)による脊椎の感染症で、椎体や椎間板の破壊、脊柱変形を引き起こす。進行すると脊髄圧迫による神経障害や膿瘍形成を伴う場合がある。発展途上国で多く、免疫抑制状態では特にリスクが高い。
要点
- 結核菌感染による慢性脊椎炎
- 椎体破壊と脊柱後弯変形が特徴
- 神経障害や膿瘍形成に注意
病態・原因
結核菌が血行性に脊椎に播種され、主に椎体前方から感染が成立する。椎間板や隣接椎体に波及し、骨破壊や膿瘍形成をきたす。糖尿病や免疫抑制状態はリスク因子である。
主症状・身体所見
慢性の背部痛が主症状で、進行例では脊柱の後弯変形や神経障害(下肢麻痺、膀胱直腸障害)を認める。寒冷膿瘍や局所の腫脹、圧痛がみられる場合もある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| X線・CT・MRI | 椎体の破壊、椎間板の狭小化、膿瘍形成 | MRIは早期診断や膿瘍・脊髄圧迫評価に有用 |
| 結核菌検査 | 培養・PCR陽性 | 生検材料や膿瘍液から検出 |
| 血液検査 | 炎症反応(CRP/ESR)上昇 | 特異性は低いが活動性の参考 |
画像所見では椎体前方の破壊、椎間板の狭小化、寒冷膿瘍の形成が特徴的。確定診断には病変部の生検による結核菌検出が必要である。
治療
- 第一選択:抗結核薬(リファンピシン、イソニアジド、エタンブトール、ピラジナミドなど)
- 補助療法:安静・装具療法、疼痛管理、栄養管理、リハビリテーション
- 注意点:早期治療開始、神経障害や膿瘍形成時は外科的治療も検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 化膿性脊椎炎 | 急性発症・発熱が目立つ | 細菌培養で結核菌以外が陽性 |
| 骨粗鬆症性椎体骨折 | 高齢女性・外傷歴 | 画像で感染所見や膿瘍なし |
補足事項
結核性脊柱炎は日本では稀だが、免疫抑制患者や高齢者での発症例が増加傾向にある。治療期間は長期(半年以上)となるため、薬剤副作用やアドヒアランスに注意が必要である。