腸管Behçet病

概要

腸管Behçet病は、Behçet病の全身性血管炎に伴い、主に回盲部を中心とした消化管に深い潰瘍を形成する疾患。再発性の腹痛や下血を主徴とし、穿孔や狭窄など重篤な合併症をきたしやすい。日本を含む東アジアで比較的多くみられる。

要点

  • 回盲部を中心に深い消化管潰瘍が特徴
  • 腹痛・下血・穿孔など重篤な経過をとることがある
  • 炎症性腸疾患や他の潰瘍性疾患との鑑別が重要

病態・原因

Behçet病の全身性血管炎により、消化管の小血管が炎症を起こし、特に回盲部に深い潰瘍が形成される。遺伝的素因や免疫異常、環境因子が関与するが、詳細な発症機序は不明。

主症状・身体所見

腹痛、下痢、下血、発熱などがみられ、消化管穿孔や狭窄による急性腹症を呈することもある。肛門病変は少ないが、口腔内アフタや皮膚症状、眼症状など全身症状を伴うことが多い。

検査・診断

検査所見補足
内視鏡検査回盲部に孤立性・深掘れ潰瘍周囲粘膜の浮腫・発赤
画像検査腸管壁肥厚、穿孔・狭窄の評価CTや小腸造影が有用
病理組織検査非特異的炎症、血管炎所見肉芽腫形成はみられない

診断は消化管潰瘍の内視鏡・画像所見と、Behçet病の全身症状(口腔粘膜アフタ、皮膚・眼・外陰部病変など)を組み合わせて行う。Crohn病や潰瘍性大腸炎との鑑別が重要。

治療

  • 第一選択:5-ASA製剤、ステロイド、免疫抑制薬
  • 補助療法:栄養管理、感染対策、生物学的製剤の適応も検討
  • 注意点:穿孔・狭窄時は外科的治療を考慮、再発予防・副作用管理が重要

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
Crohn病肛門病変多い、縦走潰瘍、瘻孔形成肉芽腫形成、非連続性病変
潰瘍性大腸炎直腸から連続性病変、浅い潰瘍粘膜層主体の炎症
腸結核多発性輪状潰瘍、石灰化リンパ節結核菌検出

補足事項

近年では生物学的製剤(抗TNFα抗体など)の有効性が報告されているが、感染症リスクや長期管理の観点から慎重な適応判断が必要。消化管穿孔や大量出血などの重篤例では緊急手術を要することがある。

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