胃食道逆流症
概要
胃食道逆流症(GERD)は、胃内容物が食道へ逆流することにより、胸やけや呑酸などの症状を呈する疾患である。食道粘膜の障害を伴うびらん性と、びらんを認めない非びらん性に分類される。生活習慣や食習慣の欧米化により増加傾向にある。
要点
- 胃内容の逆流による胸やけ・呑酸が主症状
- びらん性と非びらん性に分類される
- 生活習慣の改善と薬物療法が治療の中心
病態・原因
下部食道括約筋(LES)の機能低下や一過性弛緩、食道裂孔ヘルニア、肥満、妊娠、過食、脂肪摂取過多などが原因となる。胃酸や消化酵素の逆流が食道粘膜を障害し、症状や炎症を引き起こす。
主症状・身体所見
代表的な症状は胸やけ、呑酸、胸部不快感、咳、咽頭違和感などである。夜間や食後に増悪しやすく、重症例では嚥下困難や体重減少を認めることもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 上部消化管内視鏡 | 食道びらん・発赤 | びらん性GERDの診断に有用 |
| 24時間食道pHモニタリング | pH低下(酸逆流) | 非びらん性GERDや診断困難例に有用 |
| 食道内圧測定 | LES圧の低下 | 機能評価・鑑別目的 |
内視鏡で食道粘膜のびらんや発赤を確認し、非びらん例や疑わしい場合は24時間pHモニタリングが推奨される。バレット食道や食道狭窄、腫瘍の除外も重要である。
治療
- 第一選択:プロトンポンプ阻害薬(PPI)投与
- 補助療法:生活習慣指導(食事・体重管理・就寝時体位)、H2ブロッカー、制酸薬
- 注意点:長期PPI投与による副作用や再発予防、食道癌のリスク評価
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 機能性ディスペプシア | 胃痛・膨満感主体、逆流症状乏しい | 内視鏡で粘膜異常なし |
| 食道アカラシア | 嚥下困難・体重減少、食物停滞 | 食道造影で食道拡張・バードビーク像 |
| 好酸球性食道炎 | 若年者、アレルギー素因、嚥下障害 | 生検で好酸球浸潤 |
補足事項
GERDは再発しやすく、生活習慣の見直しが長期管理に重要となる。バレット食道合併例では定期的な内視鏡フォローが推奨される。