非びらん性胃食道逆流症

概要

非びらん性胃食道逆流症(NERD)は、内視鏡検査で食道粘膜のびらんを認めないにもかかわらず、胃食道逆流症状を呈する疾患である。GERDの大部分を占め、機能的要素や知覚過敏が関与する。治療抵抗例も多く、診断とマネジメントには注意が必要となる。

要点

  • 内視鏡でびらんを認めないが逆流症状が持続する
  • 機能的要素・知覚過敏が病態に関与する
  • 標準的PPI治療に抵抗する例も多い

病態・原因

下部食道括約筋の機能低下や一過性弛緩、胃酸逆流に加え、食道粘膜の知覚過敏や運動異常が発症に寄与する。ストレスや過敏性腸症候群などの併存もリスク因子となる。

主症状・身体所見

胸やけ、呑酸、咽頭違和感、胸痛などの典型的な逆流症状がみられる。内視鏡では食道粘膜にびらんや潰瘍を認めない点が特徴である。

検査・診断

検査所見補足
上部消化管内視鏡食道粘膜にびらん・潰瘍なし他疾患除外、診断の必須
24時間pHモニタリング酸逆流の有無・症状との関連を評価機能的胸やけとの鑑別に有用
食道内圧検査運動異常の有無必要時追加、他疾患との鑑別に参考

診断は典型的な症状と内視鏡でびらんがないことによりNERDとされる。症状と酸逆流の関連評価には24時間pHモニタリングが有用。機能性ディスペプシアなど他の上部消化管疾患との鑑別も重要である。

治療

  • 第一選択:プロトンポンプ阻害薬(PPI)投与
  • 補助療法:生活指導(食事・体重管理・禁煙・就寝時頭部挙上)
  • 注意点:PPI抵抗例ではH2ブロッカー追加や抗不安薬、認知行動療法を考慮

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
胃食道逆流症(びらん型)内視鏡でびらん・潰瘍あり内視鏡で粘膜障害を認める
機能性ディスペプシア逆流症状よりも上腹部不快感・膨満感主体pHモニタリングで酸逆流増加なし
好酸球性食道炎嚥下障害・食物つかえ感、好酸球浸潤生検で好酸球増多、内視鏡で縦走溝等

補足事項

PPI抵抗性NERDの存在や、機能性胸やけとの鑑別が臨床上の課題となる。症状評価尺度や心理的要素の評価も重要。近年、カリウムイオン競合型酸分泌抑制薬(P-CAB)の有効性も報告されている。

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