耳硬化症
概要
耳硬化症は、アブミ骨底板や内耳窓周囲の骨組織が異常増殖・硬化することで伝音性難聴や混合性難聴をきたす耳疾患である。若年成人から中年女性に多く、両側性に進行することが多い。進行性であり、治療しない場合は難聴が悪化する。
要点
- アブミ骨周囲の骨硬化による伝音性難聴
- 若年~中年女性に好発し両側性が多い
- 手術や補聴器による治療が主体
病態・原因
耳硬化症は、アブミ骨底板や卵円窓周囲の骨が異常に硬化・増殖することで、アブミ骨の可動性が低下し音の伝達障害を生じる。遺伝的素因やホルモンバランス、ウイルス感染などが関与するとされる。
主症状・身体所見
主な症状は進行性の難聴であり、初期は伝音性難聴、進行すると感音成分も加わる。耳鳴や自声強調(自分の声が響く感覚)を訴えることもある。耳鏡所見では鼓膜は正常である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 聴力検査 | 伝音性難聴または混合性難聴 | Carhart notch(2kHz低下) |
| ティンパノグラム | As型(可動性低下) | 鼓膜所見は正常 |
| CT検査 | アブミ骨周囲の骨硬化像 | 骨窓周囲の変化 |
聴力検査で気骨導差の拡大やCarhart notch(2kHz付近の骨導閾値低下)が特徴的。CTでアブミ骨周囲や卵円窓の骨硬化像を認める。診断は臨床経過と検査所見の総合で行う。
治療
- 第一選択:アブミ骨手術(アブミ骨摘出術+人工アブミ骨挿入)
- 補助療法:補聴器装用
- 注意点:術後の内耳障害や再発、両側同時手術は避ける
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 慢性中耳炎 | 鼓膜穿孔や滲出、耳漏あり | 鼓膜異常、ティンパノグラムB型 |
| 滲出性中耳炎 | 小児に多く耳閉感を伴う | 鼓膜の陥凹、液体貯留像 |
補足事項
耳硬化症は遺伝性が強く、家族歴の聴取も重要。妊娠やホルモン変化で進行することがある。術後は内耳障害による感音難聴やめまいに注意する。