複合性局所疼痛症候群
概要
複合性局所疼痛症候群(CRPS)は、四肢の外傷や手術後に発症する激しい疼痛と感覚異常、血流障害などを特徴とする慢性疼痛疾患である。原因となる器質的損傷が説明できない場合も多く、自律神経系の異常が関与する。難治性かつ生活の質を大きく損なうことがある。
要点
- 外傷や手術後に発症しやすい慢性疼痛疾患
- 感覚異常・血流障害・運動障害が多彩にみられる
- 画像・検査所見は非特異的で診断は臨床的
病態・原因
発症には外傷や手術、骨折、捻挫などの四肢の侵襲が契機となることが多いが、明らかな誘因がない場合もある。末梢神経損傷や自律神経系の異常、炎症反応の持続などが複雑に絡み合い、疼痛増強や血流障害を引き起こす。
主症状・身体所見
持続的な激しい疼痛(灼熱痛、アロディニア)、腫脹、皮膚の色調変化、発汗異常、筋萎縮、関節拘縮などがみられる。症状は患部に限局せず、しばしば拡大することがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 単純X線 | 骨萎縮像 | 進行例でみられるが初期は正常 |
| 三相骨シンチグラフィ | 早期集積亢進 | 特異的ではないが参考所見 |
| MRI | 軟部組織浮腫 | 他疾患との鑑別に有用 |
診断は主に臨床症状に基づき、Budapest基準などが用いられる。画像検査や血液検査は除外診断や他疾患との鑑別に利用されるが、特異的な所見は少ない。
治療
- 第一選択:理学療法・リハビリテーション
- 補助療法:薬物療法(NSAIDs、プレガバリン、三環系抗うつ薬)、神経ブロック
- 注意点:早期介入と過度の安静回避が重要、慢性化予防
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 線維筋痛症 | 全身性の疼痛・圧痛点 | 画像・血液検査で異常なし |
| 末梢神経障害 | 神経支配領域に一致した症状 | 神経伝導検査で異常 |
| 骨折後遷延痛 | 明確な骨損傷の既往 | X線で骨折像 |
補足事項
発症早期のリハビリが予後を左右するため、疼痛コントロールとともに積極的な可動域訓練が推奨される。心理的要因の関与も強く、多職種連携が重要である。