直腸癌
概要
直腸癌は直腸に発生する悪性腫瘍で、大腸癌の一部を構成する。発症は高齢者に多く、生活習慣や遺伝的要因が関与する。進行すると局所浸潤や遠隔転移をきたしやすい。
要点
- 早期では無症状が多く、進行で出血・狭窄症状を呈する
- 内視鏡・画像診断で病変評価と進展度判定が重要
- 治療は手術を中心に化学療法・放射線療法を組み合わせる
病態・原因
直腸粘膜の腺腫様ポリープや異型上皮から発生することが多く、加齢、食生活(高脂肪・低繊維)、家族歴、炎症性腸疾患などがリスク因子となる。遺伝性疾患(家族性腺腫性ポリポーシスや遺伝性非ポリポーシス大腸癌)も発症に関与する。
主症状・身体所見
血便や下血、便通異常(便秘・下痢の交互出現)、便柱狭小化、しぶり腹、腹痛がみられる。進行例では貧血、体重減少、直腸診で腫瘤触知を認めることがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 下部消化管内視鏡 | 腫瘍性病変、潰瘍、狭窄 | 生検で組織診断が可能 |
| CT/MRI | 壁深達度・局所進展、リンパ節・転移評価 | T,N,M分類・術前評価に有用 |
| 腫瘍マーカー(CEA, CA19-9) | 上昇例あり | 治療効果・再発モニタリング |
内視鏡検査で確定診断し、CT・MRIで進展度(TNM分類)や遠隔転移の有無を評価する。直腸癌ではMRIによる局所進展度評価が特に重要。腫瘍マーカーは補助的。
治療
- 第一選択:直腸切除術(低位前方切除術、腹会陰式直腸切断術など)
- 補助療法:術前後の化学療法・放射線療法、支持療法
- 注意点:術後の排便障害、肛門機能温存、再発・転移の定期的フォロー
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 結腸癌 | 病変部位が直腸以外の大腸 | 画像・内視鏡で部位同定 |
| 潰瘍性大腸炎 | びまん性炎症、連続性病変 | 生検で炎症・腫瘍の鑑別 |
| 痔核 | 排便時出血、腫瘤触知なし | 内視鏡で腫瘍性病変なし |
補足事項
大腸癌検診(便潜血検査)の普及により早期発見が増加している。局所再発予防や肛門機能温存のため、術式選択や術前補助療法の適応判断が重要となる。