特発性大腿骨頭壊死症
概要
特発性大腿骨頭壊死症は、明らかな外傷や基礎疾患がないにもかかわらず、大腿骨頭の骨組織が壊死に陥る疾患である。中年以降の男性に多く、進行すると股関節機能障害や変形性関節症を来す。壊死範囲や進行度によって治療方針が異なる。
要点
- 外傷や基礎疾患を伴わずに大腿骨頭が壊死する
- 股関節痛や可動域制限が主症状
- 進行すると変形性股関節症に移行することが多い
病態・原因
原因は明確でないが、アルコール多飲やステロイド大量投与との関連が指摘されている。血行障害により大腿骨頭の骨細胞が壊死し、骨頭の支持構造が失われることで発症する。リスク因子には喫煙や脂質異常症も挙げられる。
主症状・身体所見
股関節部の疼痛が主症状であり、初期は運動時痛、進行すると安静時にも痛みが出現する。可動域制限や跛行もみられる。両側性発症が約半数に認められる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| X線検査 | 骨頭の透亮像、扁平化 | 進行例で明瞭、初期は正常像も |
| MRI | 骨頭壊死部の低信号域 | 早期診断に有用 |
| CT | 骨梁の破綻や骨頭陥没 | 壊死範囲評価に適す |
MRIは早期診断に最も有用で、T1強調像で低信号域が特徴的。X線では進行例で骨頭扁平化や透亮像がみられる。特異的な診断基準として日本整形外科学会の分類が用いられる。
治療
- 第一選択:保存療法(免荷、鎮痛薬)、進行例では人工股関節置換術
- 補助療法:理学療法、装具療法
- 注意点:早期発見による進行抑制、両側発症への注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 変形性股関節症 | 関節裂隙狭小化、骨棘形成 | X線で関節裂隙狭小が主体 |
| Perthes病 | 小児発症、成長期男児 | 年齢・X線で骨頭分節化 |
補足事項
両側性発症が多いため、無症状側も画像評価が推奨される。進行症例では股関節温存術や人工関節置換術の適応となる。ステロイドやアルコール摂取歴の聴取が診断の参考となる。