溶血性尿毒症症候群
概要
溶血性尿毒症症候群(HUS)は、急性腎障害、微小血管性溶血性貧血、血小板減少を三徴とする疾患である。主に腸管出血性大腸菌(EHEC)感染後に発症し、小児に多い。重症例では多臓器障害を来すことがある。
要点
- 腸管出血性大腸菌感染後に発症しやすい
- 溶血性貧血・血小板減少・急性腎障害が三主徴
- 小児に多く、重症例では多臓器障害を伴う
病態・原因
主な原因は腸管出血性大腸菌(O157など)のベロ毒素産生株による感染である。ベロ毒素が血管内皮を障害し、微小血栓形成と腎障害を引き起こす。先天性・非典型例では補体系の異常や薬剤性もある。
主症状・身体所見
急性腎障害による乏尿・無尿、溶血性貧血による黄疸や倦怠感、血小板減少による出血傾向(紫斑など)がみられる。しばしば下痢や血便を前駆症状として認める。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 溶血性貧血、血小板減少、LDH上昇 | 破砕赤血球の出現も特徴 |
| 腎機能検査 | クレアチニン・BUN上昇 | 急性腎障害の指標 |
| 尿検査 | 血尿・蛋白尿 | 腎障害の反映 |
診断は三徴(溶血性貧血、血小板減少、急性腎障害)の存在と、下痢やEHEC感染の既往で疑う。破砕赤血球の確認も重要。補体系異常など非典型例では遺伝子検査も考慮される。
治療
- 第一選択:支持療法(輸液・透析・輸血など)
- 補助療法:高血圧管理、感染対策、栄養管理
- 注意点:抗菌薬投与はEHEC感染例では慎重に判断、溶血や腎障害の進行に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 血栓性血小板減少性紫斑病 | 神経症状・発熱が目立つ | ADAMTS13活性低下 |
| 播種性血管内凝固 | PT・APTT延長、フィブリノゲン低下 | Dダイマー上昇、出血傾向強い |
補足事項
非典型HUS(aHUS)や遺伝性HUSでは補体阻害薬(エクリズマブ)も適応となる。EHEC感染予防のための衛生管理が重要である。