赤血球破砕症候群
概要
赤血球破砕症候群は、血管内で赤血球が機械的または物理的に破壊されることにより溶血が生じる疾患群である。主に血栓性微小血管障害(TMA)や人工弁、血管奇形などが原因となる。溶血による貧血・黄疸・血管障害症状が特徴である。
要点
- 機械的な赤血球破壊による溶血性貧血を呈する
- 末梢血塗抹で破砕赤血球が認められる
- 血栓性微小血管障害や基礎疾患の精査が重要
病態・原因
赤血球破砕症候群は、血管内で赤血球が物理的・機械的な力により破壊されることで発症する。代表的な原因は血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、人工心臓弁、血管奇形などである。血管内皮障害や血管内機械的障害がリスクとなる。
主症状・身体所見
主な症状は貧血、黄疸、易疲労感、息切れなどの溶血症状である。重症例では腎障害、出血傾向、神経症状を伴うこともある。身体所見では皮下出血、黄疸、脾腫などがみられることがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 末梢血塗抹 | 破砕赤血球(schistocyte) | 破砕赤血球の出現が特徴的 |
| LDH上昇 | 溶血による逸脱酵素上昇 | 溶血の指標 |
| ハプトグロビン低下 | 血中で消費されて低下 | 溶血性貧血の補助診断 |
| 間接ビリルビン上昇 | 溶血により増加 | 黄疸の原因となる |
診断は末梢血塗抹標本での破砕赤血球の確認が最重要である。溶血性貧血の生化学所見(LDH上昇、ハプトグロビン低下、間接ビリルビン上昇)や、原因となる基礎疾患の精査(TTP、HUS、人工弁など)が必要となる。
治療
- 原因疾患の治療:TTPやHUSでは血漿交換療法
- 支持療法:輸血、腎保護、出血管理
- 人工弁の場合は弁の再手術や抗凝固療法の調整
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 溶血性尿毒症症候群 | 腎障害・血小板減少・小児発症が多い | HUSでは腎障害が主体 |
| 血栓性血小板減少性紫斑病 | 神経症状・発熱・腎障害を伴いやすい | TTPではADAMTS13活性低下 |
補足事項
赤血球破砕症候群は血管内溶血の代表的疾患であり、原因疾患の早期発見・治療が予後を左右する。人工弁や血管内デバイス装着患者では定期的な血算・溶血マーカーのモニタリングが重要である。