巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)
概要
巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)は主に高齢者に発症する大血管炎で、側頭動脈をはじめとする頭部や全身の大型・中型動脈に炎症を来す。失明など重篤な合併症を引き起こすことがあり、早期診断と治療が重要となる。
要点
- 高齢者に多く発症し、側頭動脈の圧痛や頭痛が特徴
- 失明予防のため迅速な治療開始が必要
- リウマチ性多発筋痛症との合併が多い
病態・原因
免疫異常により主に頭部の側頭動脈や大動脈分枝などの中・大動脈に炎症性細胞浸潤と肉芽腫形成を生じる。加齢が最大のリスク因子で、遺伝的素因や環境要因も関与する。
主症状・身体所見
新規発症の頭痛、側頭動脈の圧痛・索状硬化、顎跛行、視力障害などがみられる。全身症状として発熱、倦怠感、体重減少、筋肉痛なども特徴的である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 赤沈亢進、CRP高値 | 貧血や肝酵素上昇もみられる |
| 超音波検査 | 側頭動脈壁の浮腫性肥厚 | “halo sign”が特徴的 |
| 側頭動脈生検 | 巨細胞を含む肉芽腫性炎症 | 診断のゴールドスタンダード |
診断は臨床症状、炎症反応の上昇、画像所見、側頭動脈生検所見を総合して行う。視力障害例では緊急治療が推奨される。
治療
- 第一選択:副腎皮質ステロイド全身投与
- 補助療法:骨粗鬆症予防、血圧・血糖管理、抗血小板薬
- 注意点:ステロイド漸減中の再燃や感染症に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| リウマチ性多発筋痛症 | 筋痛主体で血管症状なし | 生検陰性、筋炎所見なし |
| 顕微鏡的多発血管炎 | 小血管炎主体、腎障害・肺出血 | ANCA陽性、巨細胞なし |
| 結節性多発動脈炎 | 中型動脈主体、皮膚・神経症状 | HBV関連あり、巨細胞なし |
補足事項
リウマチ性多発筋痛症の合併が約半数に認められ、両疾患の鑑別と管理が重要となる。早期治療により失明などの重篤な合併症を予防できる。